離島・農村地域における生活習慣病対策の環境整備とその評価に関する研究

文献情報

文献番号
200722018A
報告書区分
総括
研究課題名
離島・農村地域における生活習慣病対策の環境整備とその評価に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-035
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 眞一(大阪府立健康科学センター)
  • 谷川 武(筑波大学大学院 社会健康医学 )
  • 小林 美智子(長崎シーボルト大学)
  • 岡田 克俊(愛媛大学総合健康センター)
  • 伊藤 善信(秋田中央保健所)
  • 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
  • 上原 真理子(沖縄県宮古保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
離島・農村地域の環境要因・生活習慣の現状を把握し、生活習慣病の有病・発症・死亡状況との関連及び環境要因・生活習慣のうち、生活習慣病発症の促進要因を明らかにして、その要因を取り除くことによる疾病並びに医療費への影響を分析する。これらの分析に基づいて、離島・農村地域における生活習慣病対策を行うために必要な環境整備を提言する。
研究方法
対象地域は、秋田県井川町、茨城県桜川市岩瀬地区、茨城県筑西市協和地区、長崎県新上五島町、沖縄県宮古島市の5地域である。対象地域の生活環境・生活習慣を把握するため、統一アンケートを全地域で実施した。また、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの有病率の地域間比較を行うとともに、国保医療費の推移に関する分析を進めた。
結果と考察
生活習慣に関するアンケート結果から、牛乳や乳製品、果物、嗜好飲料の摂取で離島と農村で摂取頻度が異なる傾向があった。また、減塩意識、魚や野菜の摂取、運動、歩行の頻度に地域差が認められた。高血圧、糖尿病及びメタボリックシンドロームの有病率を比較した結果、高血圧有病率は、新上五島町で男女ともに高く、宮古島市で低い傾向が見られた。井川町では他地域とは異なり、65歳以上で男性に比べて女性の方が高い高血圧有病率を示した。糖尿病有病率についても新上五島町で男女ともに高く、宮古島市の女性で低かった。岩瀬地区、協和地区の男性では年齢層で糖尿病有病率にあまり差がなかった。ウエスト周囲径の代用としてBMIを指標としたメタボリックシンドロームの有病率(日本内科学会基準)は、男性40-64歳で12-20%、男性65歳以上で7-19%、女性40-64歳で5-8%、女性65歳以上で7-17%であった。40-64歳で岩瀬地区が最も高く、65歳以上では男女ともに協和地区が高い傾向を示した。また、井川町男性では、40-64歳は65歳以上に比べメタボリックシンドローム有病率が約10%高かった。また、長期的な高血圧の予防・管理を進めている協和地区における国保医療費の推移をみると、2000-2004年の1人当たり国保医療費が周辺市町村に比べて、合計で約1万3千円低くかった。協和地区の国民健康保険加入者は約8,000人であり、地域全体で約1億1千万の節減を達成している。
結論
生活習慣及び生活習慣病に地域差が認められたことから、各地域における生活習慣病対策のターゲットとなる生活習慣や年齢層が明らかになった。また、長期的な高血圧の予防・管理による国保医療費の節減への効果が認められた。

公開日・更新日

公開日
2008-05-26
更新日
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