生活習慣病予防のための効果的な栄養教育手法に関する研究

文献情報

文献番号
200722005A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病予防のための効果的な栄養教育手法に関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 由田 克士(国立健康・栄養研究所 栄養疫学プログラム 国民健康・栄養調査プロジェクト)
  • 伊達 ちぐさ(奈良女子大学生活環境学部 食物栄養学科 公衆栄養学研究室)
  • 早渕 仁美(福岡女子大学人間環境学部大学院 栄養指導 公衆栄養学)
  • 須藤 紀子(国立保健医療科学院生涯保健部 公衆栄養部)
  • 大山 珠美(宮城学院女子大学栄養食品学科 栄養教育)
  • 吉池 信男(国立健康・栄養研究所 研究企画評価主幹)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度4月より実施される、特定保健指導推進の担い手である管理栄養士へ向けた、課題を踏まえた効果的な栄養教育を行うための具体的な教育マニュアルを開発する。
研究方法
標準化された栄養指導実践のための指導実施者に向けた教育ツール“栄養カウンセリングシート”を某保健センター生活習慣病ハイリスク住民260名のデータより作成し、効果的なツールであるかどうかを評価検討した。栄養カウンセリングシートには、基本情報、生活に関する問診、食事内容に関する項目を設けており、食事内容に関しては、食物摂取頻度調査(FFQ)などの栄養調査の結果と照らし合わせながら、より具体的に食事摂取状況の評価を行った。対象者の目標設定・設定目標へ向けた実践においては、行動療法の一つとしてセルフチェック表を取り入れた。
結果と考察
セルフチェック表は対象者自身が目標設定を行い、その目標行動への実行を日記形式で書き取る形のものである。指導者へのフィードバックとして、また、対象者の意識変化に良い影響を及ぼし、対象者の行動変容を評価するうえでも有効なものであった。また、フォローアップとして、ニュースレターや支援レターの郵送など、個人に対応した栄養情報の提供の方法を工夫した。これにより、対象者のQOLの向上、さらには血液性状や行動変容にも影響したと考えられた。対象者に正確で包括的なアセスメントを行う、行動療法を取り入れた指導により目標設定と望ましい行動・意識変容を促す、さらには、個人に対応したフォローアップを行うことにより、対象者を継続的に支援してゆくという指導方法を、栄養カウンセリングシートに集約し、この教育ツールを利用してアセスメント→計画→実施→評価の流れに沿った指導の実践を、効果的な栄養教育マニュアルとして提示した。
結論
地域住民の健康増進のための栄養教育において、管理栄養士が、アセスメント→計画→実施→評価の流れに沿った効果的な指導方法を実践し、栄養指導を客観的に評価するという視点は、指導者自身を効果的な指導に導くための有効な方法論であると考えられる。“栄養カウンセリングシート”は、これらの要素を包括したものであり、“効果的な栄養指導法の標準化“のために指導実施者へ向けて開発された、今までにない新しい教育マニュアルである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200722005B
報告書区分
総合
研究課題名
生活習慣病予防のための効果的な栄養教育手法に関する研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 由田 克士(国立健康・栄養研究所 栄養疫学プログラム 国民健康・栄養調査プロジェクト)
  • 伊達 ちぐさ(奈良女子大学生活環境学部 食物栄養学科 公衆栄養学研究室)
  • 早渕 仁美(福岡女子大学人間環境学部大学院 栄養指導 公衆栄養学)
  • 須藤 紀子(国立保健医療科学院 生涯保健部 公衆栄養学)
  • 大山 珠美(宮城学院女子大学栄養食品学科 栄養教育)
  • 吉池 信男(国立健康・栄養研究所 研究企画評価主幹)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の予防を目的として軽度リスク者を対象とした効果的な栄養教育手法を開発しその有効性を検証すること。
研究方法
1.地域栄養指導における効果的な栄養教育マニュアルの作成
平成20年度から始まる“特定健診・特定保健指導”では、保険者に対して健診の事後指導が義務付けられるが、それにはマニュアルが必要である。そこで従来の対象者への「教育ツール」という観点に加えて、指導者(管理栄養士)の栄養指導を評価するための「指導ツール」という両方の観点持ったマニュアルを作成した。
2.糖尿病予防のための食教育と運動教育の効果に関する研究
減量(BMI7%減少)を目的として、食事と運動教育、食教育、運動教育、の教育介入効果を比較検討した。対象者は某県で基本健康診査を受診した者のうち、40歳以上69歳未満、BMI24以上28未満の男女を性・年齢を層別化して無作為に4群(食事と運動教育群、食教育群、運動教育群、対照群)に分けた。
3.職域における生活習慣病予防のための栄養教育手法の検証
職域において実施した生活習慣病予防のための栄養教育、1週間毎のモニタリング(体重・腹囲自己計測・目標達成率)と食事バランスガイドを活用した簡単な食事の記録・提出、個別指導、アセスメントの有効性を評価した。4月の健康診断結果を用いてメタボリックシンドロームとその予備軍である社員を抽出、無作為に2群に分け、教育群(32名)と対照群(37名)とした。6月に初期アセスメント(体成分測定・腹囲測定・血液検査・食生活セルフチェック)を実施し、以後教育群のみ栄養教育(中間評価と最終評価)を行った。
結果と考察
1.地域保健事業に関わっている管理栄養士に、実際の軽度リスク者を対象とした指導の中で栄養カウンセリングシートを試用してもらい、その結果から効果的な教育マニュアルとして有効であることが示唆された。
2.1ヶ月の減少体重は約1-2kgとし、6ヶ月の介入期間中1-3カ月の間に毎月1回の合計7回の教育を行った結果、運動のみ群において、減量を目的とした運動教育のみの効果は明らかにされなかった。
3.継続率が高く、教育により、BMI、腹囲、血清脂質が良好になった。
結論
地域や職域における管理栄養士等が実施すべき要件を汲んだ、活用できるマニュアル作成は、有効な保健サービス提供に加え、管理栄養士のレベルアップにもつながることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200722005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
平成20年度からはじまる“特定健診・特定保健指導”では、保険者に対して健診の事後指導が義務付けられるが、それには方法論(マニュアル)が必要である。今回作成したマニュアルは、従来の「対象者へ効果的な指導を行うための教育ツール」という観点と、効果的に指導を進めていくために、「管理栄養士自身の栄養指導を評価するための指導ツール」という両方の観点を持ったマニュアルとなっており、このような、指導実施者である管理栄養士へ向けられた指導マニュアルは今までになく新しい。
臨床的観点からの成果
栄養カウンセリングシートにより「管理栄養士が自らの指導を評価する」という方法論は効果的であった。減量を目的として、食事+運動教育、食教育、運動教育、の教育介入効果を比較検討した。6ヶ月の介入期間中合計7回の教育を行った結果、運動教育のみの効果は明らかにされなかった。職域において実施した生活習慣病予防のための栄養教育、1週間毎のモニタリングと食事バランスガイドを活用した簡単な食事の記録・提出、個別指導、アセスメントの有効性を評価した。教育により、BMI、腹囲、血清脂質が良好になった。
ガイドライン等の開発
研究の中心として従事した大学院生が、日本栄養士会に新しく設置された全国の都道府県の栄養ケアステーションでの取り組みを調査士、指導、改善する部署に配置され、経験が生かされている。
その他行政的観点からの成果
今回開発した方法は、実施者がかわっても一定の成果をあげることができる仕組みにしてあることから、比較的楽に作業を進めることができよう。

その他のインパクト
HCCヘルスケア・コミッティー株式会社代表取締役兼 古井祐司先生との共同会議などで、興味をもってもらうことができた。

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
2件
1件投稿中(原著論文2)
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
16件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
12件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nobuo Yoshiike,Fumi Hayashi,Yukari Takemi,et al.
A New Food Guide in Japan:The Japanese Food Guide Sppining Top
Nutrition Reviews  (2007)
原著論文2
Makoto Kato, and Shigeru Yamamoto
Consideration of Individual stage of change for setting targets of life-style may be the key for the success of dietary intervention program in community
Journal of Nutritional Science and Vitaminology  (2008)
原著論文3
南里明子,早渕仁美,太田雅規,他
健康増進による受講者の栄養状態改善効果
日本食生活学会誌  (2006)
原著論文4
早渕仁美, 久野真奈見,松永泰子,他
秤量記録法による食事調査データ を用いた系統的分析に基づく料理分類の試み
日本栄養食糧学会誌  (2007)
原著論文5
松永泰子,久野真奈見,梅木陽子,他
半定量食物摂取頻度調査票の開発と妥当性、及び再現性の評価
福女大紀要  (2007)
原著論文6
久野真奈見,早渕仁美,松永泰子,他
料理中の栄養素及び食品構成による料理群分類方法の検討?クラスター分析による料理型との比較?
栄養学雑誌  (2008)
原著論文7
永原真奈見,松永泰子,山下千恵子,他
食事診断システムの概要
福女大紀要  (2008)
原著論文8
大内愛子,早渕仁美,戸次真知子,他
料理レベルで食事を記録する簡易記録
福女大紀要  (2008)
原著論文9
早渕仁美
特集「食育は進むのか」-「食事バランスガイド~食事計画と食事評価への活用」
食の科学  (2006)
原著論文10
早渕仁美
特集「ポピュレーション対策としての食事バランスガイドの活用」~個人の行動変容・食生活改善への活用およびそのための専門家への支援」
栄養日本  (2006)
原著論文11
早渕仁美
特集「食事バランスガイドを活用して食育を進める」~Q&Aで読み解く「食事バランスガイド活用術」
食育活動  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-