がん患者の意向による治療方法等の選択を可能とする支援体制整備を目的とした、がん体験をめぐる「患者の語り」のデータベース

文献情報

文献番号
200721072A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者の意向による治療方法等の選択を可能とする支援体制整備を目的とした、がん体験をめぐる「患者の語り」のデータベース
課題番号
H19-がん臨床-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
和田 恵美子(大阪府立大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
  • 杉山 滋郎(北海道大学大学院理学研究院)
  • 朝倉 隆司(東京学芸大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、患者の置かれている社会的状況や患者の意向を患者と医療者の双方が共有し、本人の意向を十分尊重したがんの治療方法等が選択されるようながん医療提供体制の構築を目指し、患者自身が語るがんの体験をインタビューにより収集してデータベース化し、その一部を患者や一般市民向けにインターネットに公開することを目的とする。さらに、学術研究や医療提供者の教育プログラムの開発に活用する。
研究方法
英国患者の語りデータベース先行例の調査、データ収集に関わる調査者のトレーニング、またインタビュイーの安全確保とウェブ上に公開される情報の質の担保のための専門家委員会の編成を行った。さらに、インタビューマニュアルに日英の社会文化的背景の差異を反映させるために、各疾患数名程度のパイロットインタビューを実施した。
結果と考察
今年度は、英国調査の実施、英国DIPExウェブサイトの構造分析、英国における質的データの二次利用調査、調査マニュアル作成、情報倫理委員会およびアドバイザリー委員会の設立、協力者募集実施、インタビュー調査実施を行った。
その結果得られた1.倫理的課題とリスクマネジメント、2.医療情報としての質を担保する方法、3.インタビュー手法、4.協力者リクルート法、5.質的データ分析法は、今後データベース構築のためのデータ収集・分析に活かされることが明らかとなった。
またこれらの方法は、成果を広く共有するために、わが国の医療社会学領域における一つの質的研究方法としてまとめ、関連学会で発表するとともに、研究者向けにセミナー等を開催する必要性が示唆された。
結論
英国調査の結果、英国DIPExのノウハウは、インタビューマニュアルの骨子を形作るために有用であった。また、倫理的課題への対応、リスク管理、医療情報の質の担保のために研究班外部から人材を招いて、情報倫理委員会・アドバイザリー委員会を設立した。
協力者のリクルートは、ウェブページ、雑誌、新聞、テレビ、公開フォーラム、患者会でのリーフレット配布などを行い、乳がん・前立腺がん以外も含めて計40名の申し出を得た。初年度、パイロットインタビューは13名に実施し、本調査に臨むインタビュー手法がほぼ確立した。
次年度のインタビューは、より多様な協力者を得られるよう、医療者・患者会ネットワークの協力を得ていく必要がある。ウェブページ作成、データベース構築に向けては、具体的にさまざまな可能性を模索する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-