神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200721071A
報告書区分
総括
研究課題名
神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究
課題番号
H19-がん臨床-一般-031
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
池田 均(獨協医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原 章(千葉県立がんセンター研究所)
  • 林 富(東北大学医学部)
  • 金子 道夫(筑波大学医学部)
  • 麦島 秀雄(日本大学医学部)
  • 正木 英一(国立成育医療センター)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 河野 嘉文(鹿児島大学医学部)
  • 菊田 敦(福島県立医科大学医学部)
  • 熊谷 昌明(国立成育医療センター)
  • 菊地 陽(埼玉県立小児医療センター)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター)
  • 松本 公一(名古屋第一赤十字病院小児医療センター)
  • 田尻 達郎(九州大学医学部)
  • 七野 浩之(日本大学医学部)
  • 高橋 秀人(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 牧本 敦(国立がんセンター)
  • 菱木 知郎(千葉大学医学部)
  • 大喜多 肇(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
40,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療を確立し、神経芽腫医療の均てん化および新規診断・治療法の開発研究を行う。
研究方法
1.標準的治療の均てん化と新規治療開発研究を実施し得る全国規模の治療体制の整備を図る。
2.リスク別標準的治療の確立を図る。特に高リスク群においてすでに治療プロトコールが確定し臨床試験が実施されているので、これを継続し評価を行う。
3.患者由来検体の解析とトランスレーショナル・リサーチの模索ならびに推進を図る。
4.神経芽腫治療の集約・高度専門化および均てん化に関し検討を行う。
5.希少小児がんを対象とした臨床試験とその方法論を確立する。
結果と考察
 高リスク神経芽腫を対象とした二つの臨床試験の症例登録を進めた。2007年11月現在、「高リスク神経芽腫に対する標準的集学的治療の後期第II相臨床試験」では10例の登録(2007年4月1例目登録以降、予定数40例/2年)があり、「進行神経芽腫に対し原発巣切除術を含む局所療法を大量化学療法後に遅延させて行う治療計画(局所遅延療法delayed local treatment)の早期第II相臨床試験」では11例の登録(2006年6月1例目登録以降、予定数16例/2年)がある。現在、この他、高リスク神経芽腫に対する幹細胞移植前処置法の比較試験(hi-MEC療法とThio-tepa療法)、および中間・低リスク神経芽腫を対象とする軽減局所療法の臨床試験に関しプロトコールの作成作業を行っている。基礎的研究では組織学的リスク判定と遺伝子診断を組み合わせた新たなリスク分類を模索すべく、後方視的研究を開始し前方視的研究を準備した。また標準的な神経芽腫治療の全国的均てん化を推進するため、小児がんの治療体制、特に高度専門化および集約化の可能性について検討を行った。さらに希少疾患を対象としたグループ研究と臨床試験の方法論(効率的な試験デザインやデータマネジメント)の検討、ならびに小児がんの生活の質(QOL)評価法の開発研究も進行中である。
結論
 全国的な神経芽腫研究グループを基盤とし臨床試験を実施し、また新規リスク診断等の基礎研究を行うことにより、安全で効果的な治療が実施され得るものと考えられる。今後、小児がん医療を取り巻く各制度や体制の整備がすすめば、本研究はわが国における小児がん医療の高度・集約化、専門化ならびに均てん化等の実現に大きく寄与し得る。

公開日・更新日

公開日
2008-05-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-