再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200721061A
報告書区分
総括
研究課題名
再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床-一般-021
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
森谷 宜皓(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院 外科)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院 大腸骨盤外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター 消化器外科)
  • 赤池 信(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 瀧井 康公(新潟県立がんセンター新潟病院 大腸外科)
  • 石井 正之(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 加藤 知行(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
  • 大植 雅之(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 加藤 健志(箕面市立病院 下部消化管)
  • 岡村 修(関西労災病院 消化器外科)
  • 島田 安博(国立がんセンター中央病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Stage 3大腸がんに対する標準的術後補助療法を確立することを目的として、国際的標準治療5FU+アイソボリン(l-LV)静注併用群 対 試験治療UFT/ロイコボリン(LV)経口併用群の無作為化比較試験JCOG0205を実施した。
研究方法
Stage 3大腸がん術後患者を対象とし、リンパ節転移数、腫瘍占拠部位、施設の3因子で前層別を行い、静注群または経口群の2治療法にランダム割付を行う。無病生存割合を主評価項目、全生存割合と有害事象発生割合を副評価項目として、抗がん剤治療群を約6ヶ月間実施する。5FU+l-LV静注併用療法:5FU 500mg/m2,l-LV 250mg/m2を週1回、6週連続、2週休薬を1コースとして、3コース繰り返す。UFT+LV錠経口併用療法:UFT 300mg/m2/日,LV 75mg/日 分3,28日間内服、7日間休薬を1コースとして、5コース繰り返す。予定登録症例数は、1,100例である。
結果と考察
症例登録は、平成18年11月9日に予定症例数1,101例の症例登録を完了した。登録期間は3年9ヶ月であった。現在経過追跡中であるが、7施設、1,051枚の追跡調査依頼が実施され、督促を行った施設数は11施設、210例であり、最終的に調査票が未回収の施設は4施設、7例のみであった。
登録症例の背景は男性54%、年齢61歳、PS 0 95%、結腸癌67%、LN転移個数3個以下(N1)73%、部位はS状結腸31%、Rs+Ra 33%、D3郭清 76%、組織型は高分化34%、中分化58%であった。組織学的LN転移n1(+) 75%、n2 (+)22%であり、転移陽性個数中央値は両群とも2個であった。組織学的根治度A 99.7%、組織学的病期3a 75%であった。
プロトコール治療の完遂率は78%と高く、治療中止理由で有害事象および有害事象に伴う患者拒否は15%であり、治療完遂上、有害事象による影響は許容範囲ないと考えられた。2007年11月20日現在、無病生存割合は3年76.9%、4年73.2%、全生存割合は3年93.8%、4年89.3%であった。海外試験成績を上回る長期成績が期待される。
結論
JOCG0205試験の症例登録を完遂し、中間成績であるが、無病生存割合と全生存割合とも優れた成績が報告された。次期研究として経口抗癌剤を比較検討する無作為化比較試験CAPS試験を立案中である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-28
更新日
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