進行胃がんの生存率を向上させる標準的治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200721055A
報告書区分
総括
研究課題名
進行胃がんの生存率を向上させる標準的治療法の開発に関する研究
課題番号
H19-がん臨床-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
笹子 三津留(兵庫医科大学 外科)
研究分担者(所属機関)
  • 荒井 邦佳(都立墨東病院 外科)
  • 伊藤 誠二(愛知県がんセンター中央病院 外科)
  • 岩崎 善毅(東京都立駒込病院 外科)
  • 大下 裕夫(岐阜市民病院 外科)
  • 加治 正英(富山県立中央病院 外科)
  • 栗田 啓(国立病院機構四国がんセンター 外科)
  • 高木 正和(静岡県立総合病院消化器センター 外科)
  • 辻仲 利政(国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 円谷 彰(神奈川県立がんセンター 外科)
  • 梨本 篤(新潟県立がんセンター新潟病院 外科)
  • 福島 紀雅(山形がん・生活習慣病センター、 山形県立中央病院 外科)
  • 河内 保之(新潟県厚生連長岡中央綜合病院 外科)
  • 二宮 基樹(市立広島市民病院 外科)
  • 宮代 勲(大阪府立成人病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全体では70%近い治癒率を達成した胃がんにおいて、依然10%程度の5年生存率にとどまっているスキルス胃がんあるいはそれに準ずる大きな3型胃がんの予後改善。
研究方法
【研究形式】多施設共同の第Ⅲ相ランダム化比較試験(優越性試験):プライマリーエンドポイントは全生存期間。
【研究対象】遠隔転移を伴わない、治癒切除可能な8cm以上の大型3型・4型胃がん症例。【症例登録とランダム割付】JCOGデータセンターで中央登録【治療内容】試験治療:術前TS-1(3週投与1週休薬)+CDDP(day8)による化学療法を2コース行う。治癒切除可能症例ではD2以上の郭清を伴う根治手術を行い、術後6週以内よりTS-1単独による化学療法を手術後1年実施する。対照群:割付後早期に試験群と同様な内容の手術を行い、術後治療は試験治療と同じ。【予定症例数】プロトコール改訂後期間で両群併せて300例とし、期待イベント数は276とする。【実施施設】JCOG胃がん外科グループに所属する消化器がんの基幹施設約30施設。(倫理面への配慮)本人に口答及び文章による説明を行い、文章による同意を得る。説明内容には、試験参加の自由、同意後の撤回の自由、質問の自由、個人情報の扱いなどが含まれ、試験の同意取得は、ヘルシンキ宣言、個人情報保護法、臨床研究に関する倫理指針の総ての要件を満たして行われている。月1-4例を登録し、1年間で34例を登録したが、予定の年間60例ペースにはかなり遅れているので、2008年3月1日に参加施設を2施設増加することがJCOG運営委員会で承認された。また、6月にもさらに2施設増加させる方向で検討中である。現時点までに明かなTRDは出ていない。
結果と考察
この第Ⅲ相試験は手術単独群を対照治療として開始されたが、わが国の大規模試験の結果を受けて、標準治療が代わり、TS-1術後補助化学療法1年間の投与を両群に行うこととなった。この改訂により、両群に化学療法が入ることになったため、登録の同意が患者さんから得られやすい可能性が高い。今後は参加施設を数施設増加させ、同時にあらゆる方法で参加施設を鼓舞しながら、積極的な試験への参加を呼びかけていく。また、これらの対応により、年間60例の登録は可能と考えている。
結論
TS-1+CDDP療法による術前化学療法は安全性と治療効果に優れ、遠隔転移のない予後不良進行胃がん症例に対する新しい治療法となりうるポテンシャルを持っている。現在第Ⅲ相試験を施行中で、症例数を増やす努力をさらに継続していく。

公開日・更新日

公開日
2008-06-03
更新日
-