がん予防に資する未成年等における包括的たばこ対策に関する研究

文献情報

文献番号
200721040A
報告書区分
総括
研究課題名
がん予防に資する未成年等における包括的たばこ対策に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-若手-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
原 めぐみ(佐賀大学医学部社会医学講座予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 正平(国立成育医療センター研究所)
  • 兼板 佳孝(日本大学医学部公衆衛生学部門公衆衛生学)
  • 加治 正行(静岡市役所)
  • 井埜 利博(群馬パース大学保健科学部看護学科)
  • 大谷 哲也(群馬大学大学院医学系研究科生体情報学分野)
  • 矢野 公一(札幌市衛生研究所)
  • 稲垣 幸司(愛知学院大学短期大学部)
  • 谷畑 健生(国立保健医療科学院疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
20,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、がん対策基本法と同附帯決議、及びたばこ規制枠組条約に準じ、特に未成年者及び妊産婦等におけるたばこ対策に係る諸課題の把握と地域レベルでのたばこ対策を一層推進させることを目的とする。
研究方法
喫煙、受動喫煙の実態と健康影響についての調査・分析:地方自治体の母子保健領域におけるたばこ対策の実施状況に関する全国調査および収集資料の分析、既存の日本医師会員調査データの解析、産科医療施設でも妊婦や家族への禁煙指導の実態調査などを実施した。また、バイオマーカーや質問票を用いた受動・能動喫煙の評価方法の確立とその活用のために小児や乳幼児、妊産婦における尿中代謝産物についてELISAやGC-MSを用いての測定や、調査票の開発を行った。禁煙支援方策の検討強化と普及:未成年者の禁煙支援・治療に関するガイドライン作成のための作業を進めつつ、わが国での未成年へのニコチン代替療法の適応可能性の検討を行い、禁煙治療を実施できる小児医療専門機関のネットワークの構築を行った。
結果と考察
3割の自治体では妊娠中・授乳中の禁煙支援が体系的・具体的に対応なされていない点や、母子保健計画に喫煙・受動喫煙関連項目のある自治体が2割も満たない点などが判明し、母子保健領域のたばこ対策は全国で充分には実施できていない可能性が示唆された。喫煙している医師は患者の喫煙を容認する傾向にあることや、喫煙に関する問診や禁煙指導に消極的であること、喫煙している医療施設経営者は施設におけるたばこ対策においても消極的な姿勢にあることが示された。ニコチンの代謝産物であるコチニンは受動喫煙者の尿、ろ紙尿、血清、髪などから検出可能であり測定結果を通知することで喫煙や受動喫煙回避行動に変化を促す可能性が考えられた。未成年者の禁煙支援・治療に関する約4000の論文から150の有用な論文が選択され、構造化抄録の作成、個別研究の評価、証拠のまとめと進めているところである。
結論
自治体での母子保健領域でのたばこ対策は十分でない可能性や、喫煙する医師が禁煙指導に消極的であること、受動喫煙者でもコチニンが検出されることが確認された。未成年者および母子保健領域におけるたばこ対策は、特に若い女性や10代の両親に対する喫煙防止活動や禁煙指導も課題である。そのためにも未成年者の禁煙支援・治療に関するガイドライン作成や、本研究で得られた成果の啓発普及などが急務である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-21
更新日
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