文献情報
文献番号
199700343A
報告書区分
総括
研究課題名
医療情報の交換手順の標準化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
吉原 博幸(宮崎医科大学附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
- 大江和彦(東京大学附属病院中央医療情報部)
- 大橋克洋(大橋産科・婦人科医院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 情報技術開発研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本グループは、「電子カルテの論理構造と、施設間のデータ交換技術の標準化」に関する技術的な問題を解決することを目的とした。具体的には以下の通り。
1. 電子カルテの論理構造に基づくSGML文書型定義(D TD:Document Type Definition)の研究と普及・発展
2. SGMLを用いたカルテ情報の交換実験(異なるプラットフォーム間、インターネット上)
3. MMLパーサーの開発と公開
1. 電子カルテの論理構造に基づくSGML文書型定義(D TD:Document Type Definition)の研究と普及・発展
2. SGMLを用いたカルテ情報の交換実験(異なるプラットフォーム間、インターネット上)
3. MMLパーサーの開発と公開
研究方法
1. DTD:DTD(アルファーバージョン)を、正式にバージョン1.0シリーズを制定・公開しベンダーやユーザーから提出された意見を反映させ、バージョンアップを行った。 2. カルテ情報の交換実験:作成したDTDをベースに、カルテ情報をSGML化し、異なるプラットフォーム間での情報交換が可能な実験システムを構築した。はじめにオフラインメディアや、電子メイルでの転送を想定し、MIME formatをパッケージとして使用する方法を公開し次に、インターネット上で、異なる電子カルテシステム同士がダイレクトに情報を交換する方法を構築し、実験を行った。 3. MML パーサーの開発と公開:医療情報の互換性( MML/MERIT-9)を保証することが電子カルテシステムの発展につながる。当面、各ベンダーは、それぞれ独自の電子カルテシステムを構築し、ついでMMLインターフェイスを装備するものと思われる。そこで、MMLの普及を加速する意味から、MML文書を解析するための移植性の良いプログラムを開発・公開し、ベンダーが自由に利用できるようにした。
結果と考察
【DTD】:電子カルテ交換用 DTD最新版(MML V.1.0.2: Medical Markup L anguage)をインターネット上に公開している(以下のURL)。http://www.h.u-tokyo.ac .jp/mml/MML102.html では、若干のタグ新設、DTD構造変更を行っている。また、D TDでカバーしきれない情報(画像、検査結果、処方など)とのリンク方式については、MM L/MRIT-9研究会で検討を加え、外部ファイルをポインティングする方式(外部エンティティー参照方式)とし、柔軟な拡張性を持たせた。【インターネット上でのカルテ情報の交換実験】:MMLエンコード化された診療データ(SGML文書)と添付情報としての画像データを、オブジェクト技術を用いて相手施設に送り、相手のエージェントが、そのデータを解釈し、相手側の電子カルテシステムに格納する。異なるプラットフォーム、異なるデータベースシステム間でのデータの交換が可能なことが実証された。【MMLパーサーの開発と公開】:MMLの普及を加速する意味から、M ML文書を解析するための移植性の良いプログラムを開発・公開し、ベンダーが自由に利用できるようにした。移植性を保証するために、JAVA beanを用い、可能な限りコンポーネント化し、各ベンダーが開発するアプリケーションに部品として組み込むことが出来るよう配慮した。機能としては次の通りである。 1) DTDに基づき、MML インスタンスが論理的に正しい構造であるかどうかを検証する。2) 論理的に正しい構造の MML 文書である場合は、セクションごとにその内容を表示する。 3) DICOM viewerやHL7 viewerに、MREFタグで指定された外部ファイルを通知することができる。また、その利用方法に対する例(DI COM Viewer、HL7 Viewer と組み合わせたインフォームドコンセント用ビュワーなど)を提示する。なお、本パーサー(部品)と他のベンダー等でJAVAベースで開発された部品を組み合わせることによって、新たなJAVAアプリケーションを作成することが可能である(別添資料2)。これにより、各ベンダーにとってもMML関連のアプリケーション作成が容易になり、 MMLの正しい理解と普及が期待される。本プログラムは、インターネット上にソースコードも含めて公開し、商業利用も含めた自由な利用を可能にする予定である。本方法を用いることによって、異なるシステム間で医療データの交換が可能なことが実証された。今年度の成果は、診療データベースの中から送りたい情報を取り出してSGML文書として相手に送る方法を実用レベルで確立したことである。つまり、それぞれ異なるローカルシステムから情報を取り出し、DTDで規定される診療情報の「枠」にデータをはめ込み、SGML文書として相手に送る。受け取った相手は、同様にDTDに従ってこれを解読し、正しい医療情報として復元する。これは、「紹介状」や、「全てのカルテ情報」など、データとしては紙の文書に近い静的な情報である側面が強い。将来、異なるシステムのデータベース同士が動的にリンクする形で、細分化されたデータが飛び交うことが予想され、SG ML文書と
してのデータ交換には限界がある(昨年度の考察で指摘)。本年度は、実験的レベルであるが、オブジェクト技術を用いて、動的にデータを交換する実験を行い、一定の成果を見た。次年度は、これをさらに進めて、細かい医学概念レベルでの動的データ交換が可能なシステムの開発を目指したいと考える。
してのデータ交換には限界がある(昨年度の考察で指摘)。本年度は、実験的レベルであるが、オブジェクト技術を用いて、動的にデータを交換する実験を行い、一定の成果を見た。次年度は、これをさらに進めて、細かい医学概念レベルでの動的データ交換が可能なシステムの開発を目指したいと考える。
結論
1. SGML技術を用いて、診療録を表現することが可能な実用的なDTDを作成した。2. すでに実証済みのMIME形式のマルチメディアパッケージによるオフラインや電子メイルベースの医療情報の交換をさらに発展させ、オブジェクトを用いたインターネットベースでの情報交換が実用レベルで可能であるとを実証した。3. MMLの普及を加速するため、MML文書を解析するための移植性の良いプログラムを開発・公開し、ベンダーが自由に利用できるようにした。移植性を保証するために、JA VA beanを用い、可能な限りコンポーネント化し、各ベンダーが開発するアプリケーションに部品として組み込むことが出来るよう配慮した。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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