通院治療・在宅医療等、地域に根ざした医療システムの展開に関する研究

文献情報

文献番号
200721037A
報告書区分
総括
研究課題名
通院治療・在宅医療等、地域に根ざした医療システムの展開に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
湯地 晃一郎(東京大学医科学研究所附属病院 内科)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 一彦(JR東京総合病院 血液内科)
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
  • 小松 恒彦(筑波記念病院 血液内科)
  • 田中 祐次(東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム部門)
  • 中村 利仁(北海道大学医学部社会医療管理学)
  • 山口 拓洋(東京大学医学部附属病院 臨床試験データ管理学)
  • 宮腰 重三郎(東京都老人医療センター 血液科)
  • 濱木 珠恵(東京都立府中病院 輸血科)
  • 児玉 有子(東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
11,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、がん患者が希望する在宅治療と通院治療を可能にするための医療連携システム及び患者支援システムの整備を目的とする。具体的には、がん患者が希望する在宅通院治療を円滑に実施するための在宅化学療法の医療連携システムの構築、がん患者・家族への在宅医療啓蒙支援システムの構築等を目的とする。
研究方法
(1)在宅医療を受けた患者の転帰に関する研究
 単一在宅療養支援医療診療所で2005年から2006年の2年間に死亡した115例を対象に、看取りの場所、看取りの場所に影響した因子について分析した。また、全国8か所の在宅療養支援診療所に協力を依頼し、それぞれの診療所における平成19年度前死亡・中断事例を対象に、在宅医療を受けた患者の転帰と、その転帰に影響した社会的因子、および地域格差について検討した。
(2)在宅医療に関する意識調査
 在宅医療に関する意識調査として、①病院勤務医師対して在宅医療への紹介状況を問うたものと、②広く国民に対して在宅医療についての知名度、希望を聞く2種類の調査を実施した。
(3)在宅医療啓蒙のための研究
 患者家族向けの普及啓発モデル構築研究、在宅医療向けの人材育成のための教育システム構築研究として昨年度作成した在宅医療ガイドブックを医療機関の地域連携室、在宅療養支援診療所、調剤薬局等に配布した。病院勤務医師向けの在宅医療導入に関する手引きを作成した。
結果と考察
 在宅医療を受けた患者の転帰に関する研究では、全国8か所の在宅療養支援診療所に協力を依頼し、在宅医療を受けた患者の転帰と、その転帰に影響した社会的因子、および地域格差について検討した。在宅医療推進のための整備が整ってきている現状においても、家族の在宅医療を体験者の2割が家族へ在宅医療を勧めたくないと思っているという結果は、在宅医療供給者真摯に受け止める必要がある。家族に対するフォーマル・インフォーマルな在宅医療支援に加え、住環境や家族の概念の変化を踏まえ、家族員の負担に頼らない在宅医療のシステムについても検討が必要である。
結論
 がん患者が希望する在宅治療と通院治療を可能にするためには、医療連携システム及び患者支援システムの整備が必要である。在宅化学療法、在宅・通院治療についての患者・家族向け啓蒙活動などにより具体的な方策を提言していく。

公開日・更新日

公開日
2008-08-07
更新日
-