自治体におけるがん対策の現状分析とマネジメントシステムの構築支援に関する研究

文献情報

文献番号
200721028A
報告書区分
総括
研究課題名
自治体におけるがん対策の現状分析とマネジメントシステムの構築支援に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
今井 博久(国立保健医療科学院疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院)
  • 小坂 健(東北大学大学院)
  • 福田 吉治(国立保健医療科学院疫学部 )
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学政策科学部)
  • 中尾 裕之(国立保健医療科学院疫学部 )
  • 八幡 裕一郎(国立保健医療科学院疫学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
都道府県等の自治体で行われているがん対策の実情を把握し、がん治療・予防の均てん化のためのがん対策推進計画の立案、実施および評価にあたり必要とされるマネジメントシステム構築を支援すること。
研究方法
(1)都道府県がん対策推進計画立案の実態調査として、都道府県のがん対策に関する質問紙調査とがん対策推進計画立案状況に関するヒアリング調査を行った。
(2)がん対策の日米比較研究として、米国の包括的がん対策計画のレビューとヒアリング調査、米国の州別のがん対策計画の定量的・定性的分析を行った。
(3)自治体のがん対策推進支援手法に関する研究として、がん検診受診率について、現在公開されているデータを元に市町村別の標準的な算定方法について検討し、従来からの算定データとの比較をもとに最適な方法について提言した。地域の優先順位決定のための部位別がんの高死亡率地域を同定した。
結果と考察
(1)がん死亡率以外の指標についてほとんど整備されていないこと、その理由としてがん登録の不備、行政内部のがん対策包括部門の未設置やがん対策専門官の不足が明らかになった。都道府県担当者のヒアリングから、横断的な計画に対する取り組み状況の問題点が把握でき、その背景として、担当者が数年で配置転換されることや専門的な支援が行われていないことなどが考えられた。
(2)約10年前より実施されている米国の包括的がん対策計画は、人材育成支援、技術・情報提供、予算配分などの点で、有用な先行事例であった。州ごとのがん対策計画のレビューでは、その多くで、罹患・死亡率、生活習慣(特に喫煙)の他、医療保険、医療資源へのアクセス、患者・遺族ケア、終末期、調査、がん登録、社会的格差、法律・条例が記載されていた。
(3)がん検診対象者数として、就労者・一次産業人口と要介護者数を加味した推計値が従来の値との相関が強く、より適切な推計値であることが示唆された。また、空間スキャン法による高死亡率地域の同定は、個々のがんで対策を強化すべき地域やその要因の推測に寄与できると考えられた。
結論
がん対策の自治体の取り組みには大きな差異があり、がん医療・予防の均てん化のための課題が明らかになった。今後、がん対策立案・実施・評価のための情報提供や人材育成等について、国立保健医療科学院、国立がんセンター等の関連機関が役割を分担しながら連携する支援システムを構築する必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
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