進行性大腸がんに対する低侵襲治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200721025A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性大腸がんに対する低侵襲治療法の確立に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
北野 正剛(大分大学医学部外科第1)
研究分担者(所属機関)
  • 森谷宜皓(国立がんセンター中央病院大腸外科)
  • 小西文雄(自治医科大学附属大宮医療センター外科)
  • 杉原健一(東京医科歯科大学腫瘍外科)
  • 渡邊昌彦(北里大学外科消化器外科)
  • 齋藤典男(国立がんセンター東病院骨盤外科)
  • 福永正氣(順天堂大学浦安病院外科、消化器外科)
  • 工藤進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)
  • 正木忠彦(杏林大学第一外科)
  • 長谷川博俊(慶應義塾大学医学部一般・消化器外科)
  • 炭山嘉伸(東邦大学附属大橋病院第三外科)
  • 佐藤武郎(北里大学東病院消化器外科)
  • 山口高史(京都医療センター外科)
  • 伴登宏行(石川県立中央病院消化器外科)
  • 宗像康博(長野市民病院外科)
  • 石井正之(静岡がんセンター大腸外科)
  • 前田耕太郎(藤田保健衛生大学外科)
  • 門田守人(大阪大学消化器外科)
  • 東野正幸(大阪市立総合医療センター消化器外科)
  • 谷川允彦(大阪医科大学医学部一般・消化器外科)
  • 岡島正純(広島大学大学院、広島大学附属病院内視鏡外科)
  • 久保義郎(国立病院四国がんセンター)
  • 藤井正一(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター)
  • 村田幸平(吹田市民病院外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在腹腔鏡下手術は、欧米においても本邦においても進行大腸がんにも適応が拡大されてきているが、遠隔成績から見た信頼性は未だ明確にされていない。従って、進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の遠隔成績を明らかにし根治性が保持されうることを確認し、本術式の妥当性を明らかにするため、本研究班では、昨年度に引き続き、進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との遠隔成績に関してランダム化比較試験を行いその有用性を評価することを目的とする。
研究方法
1初年度に承認されたプロトコールコンセプトに基づき、ランダム化比較試験を実施。
2患者の理解度を高めランダム化比較試験の症例集積性を高めるための工夫。
3臨床試験のQuality Control / Quality Assuranceを高める対策を実施。
4インフォームド・コンセントの結果の現状の明確化。
5臨床試験の結果の中間解析の実施。
結果と考察
(1)2008年2月までの総登録数は約754例に到達。(2)4月および1月に班会議を開催し、本臨床試験の問題点を議論。(3)登録全症例の手術写真の中央判定を施行し、班会議にても施設間の手術手技の供覧を施行。(4)ビデオ・DVDを用いたわかりやすい臨床試験の説明によりIC取得率向上につなげた。(5)年3回にわたるアンケート調査を行い、IC取得率58%という高い取得率と取得できない場合の理由や患者が選択した治療法を明確にした。(6)本研究成果の内容の一部を4月に開催の日本外科学会学術集会および11月の日本内視鏡外科学会総会にて報告。(7)9月に第1回中間解析を行い、標準治療群(開腹手術)および試験治療群(腹腔鏡下手術)のいずれも安全性に問題は認めなかった。この研究の遂行によって、進行大腸がんにおける腹腔鏡下手術の根治性に関する治療成績が、世界に評価されうるわが国の質の高いエビデンスとして確立され、大腸がんに対するわが国の標準術式の位置づけが明確化されることが期待できる。
結論
わが国の進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の長期成績を明らかにすることは、進行大腸がんに対する標準手術としての腹腔鏡下手術の位置づけを明確化することにつながる。さらに、腹腔鏡下手術がもたらす術後在院日数の短縮や早期社会復帰は、医療費の適正化、医療経済の面からも社会貢献できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-11-10
更新日
-