文献情報
文献番号
200721019A
報告書区分
総括
研究課題名
HER2過剰発現を有する乳がんに対する術前Trastuzumab化学療法のランダム化第Ⅱ相比較試験
課題番号
H18-がん臨床-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 正志(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
研究分担者(所属機関)
- 竹内 正弘(北里大学大学院 薬学部)
- 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 乳腺科)
- 井野 裕代(神奈川県立がんセンター 乳腺甲状腺外科)
- 岩田 広治(愛知県がんセンター中央病院 乳腺科部)
- 徳田 裕(東海大学医学 外科学系 乳腺・内分泌外科)
- 中村 清吾(聖路加国際病院 乳腺外科)
- 増田 慎三(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 外科)
- 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
91,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
予後不良なHER2過剰発現の乳癌術前化学療法(臨床病期II-IIIA)において治療効果の向上を目指し、アンスラサイクリン系薬剤併用化学療法に引き続いてHER2蛋白に対する抗体であるtrastuzumab(Tmab)併用下で、パクリタキセル(PTX)週1回投与とドセタキセル(DTX)3週1回投与の病理学的完全寛解(pCR)率を比較する第II相試験を8施設が参加する共同試験として実施した。また、Tmabを治験薬として中外製薬株式会社より提供を受け、医師主導型治験として実施した。この試験により、より治療効果の高いレジメンを選択を目的とした。
研究方法
対象症例は、組織診で浸潤性乳癌と診断、臨床病期II期 / IIIA期でいずれかに該当(乳腺超音波検査で腫瘍径2cm未満+乳腺超音波で腋窩リンパ節転移陽性、乳腺超音波で腫瘍径2cm以上)、HER2過剰発現、18才以上65才以下、PS 0-2、適切な骨髄、肝、および腎機能を有する、心駆出率60%以上、本人より文書同意。
治療レジメンは以下の2群のいずれかにランダム化割付。
(1) シクロフォスファミド500 mg/m-2 /エピルビシン100 mg/m-2/5-フルオロウラシル500 mg/m-2併用(CEF)療法(3週1回) x 4コース→PTX 80 mg/m-2週1回 x 12コース+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4コース
(2) CEF療法((1)と同じ) x 4コース→DTX 75 mg/m-2 3週1回 x 4コース+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4コース
いずれの治療群も術後Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 14コース
治療レジメンは以下の2群のいずれかにランダム化割付。
(1) シクロフォスファミド500 mg/m-2 /エピルビシン100 mg/m-2/5-フルオロウラシル500 mg/m-2併用(CEF)療法(3週1回) x 4コース→PTX 80 mg/m-2週1回 x 12コース+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4コース
(2) CEF療法((1)と同じ) x 4コース→DTX 75 mg/m-2 3週1回 x 4コース+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4コース
いずれの治療群も術後Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 14コース
結果と考察
平成19年3月に登録開始、平成20年3月時点で試験へ86例を登録した。重篤な有害事象は12件(12例)に認められた。CEF投与中は9件、Tmabと化学療法併用中は3件(PTXlとの併用1件、DTXとの併用2件)であった。うち、1件(心不全)が治験薬であるTmabとの因果関係が否定できないと判断された。
試験の実施に伴い、治験調整に関わる業務が膨大となった。今後、医師主導治験の普及のために治験の質を保持しつつ、治験調整に関わる業務を簡素化する方策(セントラル・モニタリング方式の導入など)を検討して行く必要があると考えられた1
試験の実施に伴い、治験調整に関わる業務が膨大となった。今後、医師主導治験の普及のために治験の質を保持しつつ、治験調整に関わる業務を簡素化する方策(セントラル・モニタリング方式の導入など)を検討して行く必要があると考えられた1
結論
今回、医師主導型治験を実施した。症例登録を継続中であり、今後は、病理中央診断の実施、および附随研究の推進をはかる。
公開日・更新日
公開日
2008-05-14
更新日
-