在宅医の早期参加による在宅緩和医療推進に関する研究

文献情報

文献番号
200721015A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医の早期参加による在宅緩和医療推進に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 敏(千葉県がんセンター 緩和医療科)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 寛也(国立がんセンター東病院 緩和ケア科)
  • 奈良林 至(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合病院)
  • 大木 信子(匝瑳市民病院)
  • 河野 秀一(渋谷区医師会ひがし健康プラザ)
  • 藤田 敦子(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア)
  • 大岩 孝司(さくさべ坂通り診療所)
  • 児玉 賀洋子(市川健康福祉センター)
  • 柴田 岳三(日鋼記念病院)
  • 沖田 伸也(クリニックあしたば)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 緩和医療期においては、入院ケアよりもすぐれていると言われている在宅ケア
をより標準化、普遍化する必要があり、良質な在宅緩和ケアシステムを構築すること
を目的として研究が開始された。
研究方法
研究班を構成し分担研究を行った。
結果と考察
 今までの研究から導かれた成果・課題を概説する。
 まず、がん治療を行う施設側として以下のように改革をした。まず在宅支援センター
を緩和ケア病棟内に併置し、専属ナースをおいて在宅緩和医療のコーデイネーターと
して関わるようにした。次に、外来通院患者に対しては緩和医療科の外来を治療担当
側外来と並診のかたちとし、がん治療病棟入院症例に対してはチームでの関わりを通
し、いずれもより早期から緩和医療が提供できる体制とした。そして、外来または治
療病棟から直接在宅療養に移行する場合の、緊急時の受け入れ病棟を緩和ケア病棟と
することで、よりスムースな在宅移行が可能になってきた。次に在宅医の底辺拡大に
関して、訪問診療を容易にする仕組みの構築のため、千葉県在宅医懇話会が組織化さ
れ活動が開始された。メイリングリストによる相談受付、専門医へのアドバイス伺
い、多診療科医師による在宅併診、などの体制が整備された。その他、在宅療養支援
診療所の麻薬使用状況などの調査研究、また、訪問看護部門、介護支援部門に対して
のアンケート調査を通しての量的質的向上に関する研究が進行した。
つづいて患者・家族を含めた一般住民側に関する問題で、在宅医療の優位性について
の広報が重要であり、一般支援団体および健康福祉センター(旧保健所)による公開
講座開催、またその際のアンケート調査から住民側の意識調査が随時行われ、医療側
にフィードバックされた。一方、在宅療養移行例に関して、病状・診療形態、患者さ
ん・ご家族に対しての聞き取り調査などの研究からは、先が予測できない、とか痛み
が悪化していくのではといった心配ごと、また、さまざまな相談先・受け入れ先の確
保などの要望が強いということがわかってきた。
結論
 今後の課題として、まず、県内の拠点病院に千葉県がんセンター方式の踏襲を働きか
ける。次に、在宅医の底辺拡大に関して、現行のシステムの強化と教育研修面の充実
を図る。一般住民側に対しては、ひきつづき在宅療養の優位性に関しての広報的活
動、そして患者・家族という在宅療養体験者を通しての研究を進め、総合的に、在宅
緩和医療という診療形態の良質化が結果されることを目標とする。

公開日・更新日

公開日
2009-05-08
更新日
-