がんの腹膜播種に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200721008A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの腹膜播種に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
白尾 国昭(大分大学医学部 臨床腫瘍医学講座)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200721008B
報告書区分
総合
研究課題名
がんの腹膜播種に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
白尾 国昭(大分大学医学部 臨床腫瘍医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 仁(斗南病院消化器病センター)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院放射線診断部)
  • 畠 清彦(癌研究会有明病院化学療法科)
  • 原田 実根(九州大学医学研究院臓器機能医学部門内科学講座)
  • 浅香 正博(北海道大学病院第3内科)
  • 佐々木 康網(埼玉医科大学)
  • 井廻 道夫(昭和大学病院)
  • 宮田 佳典(佐久総合病院胃腸科)
  • 小島 宏(愛知県がんセンター愛知病院消化器外科)
  • 田村 孝雄(神戸大学医学部附属病院消化器内科)
  • 辻 晃仁(高知医療センター化学療法科)
  • 那須 淳一郎(四国がんセンター内科)
  • 吉田 元樹(熊本地域医療センター内科)
  • 小松 嘉人(北海道大学第3内科)
  • 村上 晶彦(岩手県立中央病院内視鏡科)
  • 斎藤 博(山形県立がん・生活習慣病センター)
  • 矢野 友規(国立がんセンター東病院内視鏡部)
  • 中村 朗(総合病院国保旭中央病院内科)
  • 大川 伸一(神奈川県立がんセンター消化器内科)
  • 小松 弘一(横浜市立市民病院消化器科)
  • 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター消化器内科)
  • 澤木 明(愛知がんセンター中央病院)
  • 瀧内 比呂也(大阪医科大学附属病院化学療法センター)
  • 西崎 朗(兵庫県立成人病センター消化器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は腹膜播種を伴う進行胃がん(腹膜播種を伴う術後再発胃がんを含む)を対象にMTX+5-FU時間差療法と5-FU単独持続静注療法の第Ⅲ相無作為化比較試験を行い、腹膜播種を伴う進行胃がんに対する標準的治療法を確立することである。
研究方法
 腹膜播種を伴う進行胃癌(腹膜転移を伴う術後再発胃癌を含む)に対するMTX+5-FU時間差療法の有用性を検討するため、5-FU単独持続静注療法とのランダム化比較試験を行う。Primary endpointは全生存期間、Secondary endpointは登録時経口摂取可能例が経口摂取不能となるまでの期間(経口摂取可能生存期間)、登録時経口摂取不能例における経口摂取改善割合、有害事象発生割合および重篤な有害事象発生割合とした。

(倫理面への配慮)
 ヘルシンキ宣言および我が国の「臨床研究に関する倫理指針」に従うこととした。
結果と考察
(結果)平成17年7月時点で162例が登録された。平成18年予定症例数を追加し、平成19年4月には予定通り2群計237症例の登録を終了した。2郡間の年齢、性別、PS、切除不能/再発の割合、登録直前の点滴の有無、手術例の有無、術後補助化学療法の有無、原発巣の肉眼型、組織型、転移巣の診断根拠、原病に伴う自他覚症状など背景に大きな差は見られなかった。現在、生存、有害事象など追跡中である。
(考察)平成20年9月には最終解析を実施する。その結果により、腹膜播種を伴う進行胃がんに対する現時点の標準治療が確定するものと思われる。また、最終解析の結果をもとに、さらなる治療成績の向上を目指し、次期第三相試験を計画する。なお、平成17年度より、腹膜転移を伴う胃がんの二次治療に関する比較第二相試験(JCOG0407:best available 5-FU vs weekly Taxol: がん研究助成金指定研究14指-3大津班)が開始されており、その結果も考慮にいれ、次期第三相試験を計画する予定である。
結論
平成19年4月には予定通り2群計237症例の登録を終了した。平成20年9月に最終解析予定であり、その結果により、腹膜播種を伴う進行胃がんに対する現時点の標準治療が確定するものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200721008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまでにJCOG studyとして、切除不能・再発胃癌(非腹膜転移例)を対象にした無作為化比較第III相試験や腹膜播種例を対象にしたMTX+5-FU時間差療法の第II相臨床試験などを行ってきたが、今回それらの知見をもとに本研究が計画された。本研究は腹膜播種を伴う進行胃癌を対象にしたMTX+5-FU時間差療法と5-FU単独持続静注療法の第Ⅲ相無作為化比較試験であるが、今後の胃癌治療開発を非腹膜転移例と腹膜転移例とに分けて行うことの妥当性を検証する意味でも非常に重要な試験と位置づけられる。
臨床的観点からの成果
本研究により、胃がん腹膜播種症例に対する標準的治療法が決定されれば(MTX+5-FU時間差療法または5-FU単独持続静注療法)、本疾患で悩む多数の患者に対し、効果的でかつ安全な治療を行うことが可能となり、大きな利益をもたらすものと期待される。また、統一された標準治療として、均てん化の促進にも貢献するものと考えられる。
ガイドライン等の開発
本研究により、胃がん腹膜播種症例に対する標準的治療法が決定されれば(MTX+5-FU時間差療法または5-FU単独持続静注療法)、胃がん腹膜播種症例における唯一の統一的標準治療として、ガイドラインにも紹介され、広く一般診療として用いられるものと思われる。
その他行政的観点からの成果
本研究の結果をもとに、さらなる治療成績の向上を目指し、次期第三相試験を計画する予定である。現在、腹膜転移を伴う胃がんの二次治療に関する比較第二相試験(JCOG0407:best available 5-FU vs weekly Taxol: がん研究助成金指定研究14指-3大津班)も実施されており、その結果も参考にして、次期第三相試験を計画する予定であるが、本研究が引き金になり今後胃がん腹膜播種症例における活発な研究活動が行われるものと思われる。
その他のインパクト
「日本のがん大規模試験―テーマ提起から症例集積完了までの経過と問題点」:胃癌(JCOG)(臨床研究・生物統計研究会、シンポジウムIII、2004年、愛知)および「消化器がんのPhase III study」(第3次対がん10ヵ年総合戦略、第2回合同シンポジウム、がんの罹患率と死亡率の激減を目指して、17、2008年、東京)において、本研究に関する発表を行った。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
27件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
29件
学会発表(国際学会等)
16件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Shimizu T, Yamada Y, Shirao K, et al.
Clinical application of immunoreactivity of dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) in gastric scirrhous carcinoma treated with S-1, a new DPD inhibitory fluoropyrimidine
Anticancer Res , 25 , 2997-3002  (2005)
原著論文2
Boku N, Ohtsu A, Shirao K,et al.
Significance of Biological Markers for Predicting Prognosis and Selectimg Chemotherapy Regimens of advanced Gastric Cancer Patients between Continuous Infusion of 5-FU and a Combination of 5-FU and Cisplatin
Jpn J Clin Oncol , 37 , 509-514  (2007)
原著論文3
Boku N, Ohtsu A, Shirao K,et al.
Relationship between expression of vascular endothelial growth factor in tumor tissue from gastric cancers and chemotherapy effects: comparison between S-1 alone and the combination of S-1 plus CDDP
Jpn J Clin Oncol , 37 , 509-514  (2007)
原著論文4
Nakajima TE, Yamada Y,Shirao K,et al
Combination of O(6)-methylguanine-DNA methyltransferase and thymidylate synthase for the prediction of fluoropyrimidine efficacy
European Jounal of Cancer , 44 (3) , 400-407  (2008)
原著論文5
J Matsubara,K Shirao.
Impacts of excision repair cross-complementing gene I(ERCCI),dihydropyrimidine dehydrogenase,and epidermal growth factor receptor on the outcomes of patients with advanced gastric cancer
British Journal of Cancer , 98 (4) , 832-839  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-09-25
更新日
-