第Ⅳ期食道がんに対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200721007A
報告書区分
総括
研究課題名
第Ⅳ期食道がんに対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 暢敏(東京歯科大学市川総合病院外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 篠田雅幸(愛知県がんセンター)
  • 加藤健(国立がんセンター中央病院)
  • 清水秀昭(栃木県立がんセンター)
  • 宇田川晴司(虎の門病院 )
  • 山名秀明(久留米大学医学部 集学治療センター)
  • 青山法夫(神奈川県立がんセンター )
  • 中村努(東京女子医科大学)
  • 河野辰幸(東京医科歯科大学)
  • 松原久裕(千葉大学大学院 先端応用外科)
  • 藪崎裕(新潟県立がんセンター )
  • 渡辺剛(京都大学医学研究科 腫瘍外科学)
  • 矢野雅彦(大阪府立成人病センター )
  • 栗田啓(国立病院機構四国がんセンター )
  • 三梨桂子(国立がんセンター東病院)
  • 池田健一郎(岩手医科大学 第一外科)
  • 北川雄光(慶應義塾大学医学部)
  • 幕内博康(東海大学医学部)
  • 池内駿之(東京医療センター)
  • 神田達夫(新潟大学医学部)
  • 辻仲利政(大阪医療センター )
  • 坪佐恭宏(静岡県立静岡がんセンター )
  • 多幾山渉 (広島市立安佐市民病院)
  • 藤也寸志(九州がんセンター )
  • 高木正和(静岡県立総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、遠隔臓器転移を伴わない高度進行食道がんに対する標準治療の確立を目的とする。T4 and/or M1リンパ節転移例を有する食道扁平上皮癌を対象とし、通常用量シスプラチン+5-FU(FP)+ 放射線療法(RT)と、その使いやすさからエビデンスがないまま本邦で普及している低用量FP+RTとのランダム化第II/III相試験(JCOG0303)を、JCOG食道がんグループの多施設共同研究として行う。
研究方法
切除不能のStageⅢ、Ⅳで適格条件に合致しICが得られた食道扁平上皮癌症例を登録し、以下のA, B,二つの治療群に分ける。
(A) 通常用量 FP・RT同時併用療法
Cisplatin 70 mg/m2/dayはDay 1, 29にvolus投与。5-FU 700mg/m2/dayはDay 1-4, 29-32に持続静注。放射線治療は60Gy/30×/6W。
(B) 低用量 FP・RT同時併用療法
Cisplatin 4mg/m2/dayは連日1時間で投与。5-FU 200mg/m2/dayは月〜金曜日まで持続静注。放射線治療は同上。
 ランダム化第Ⅱ相試験では全生存期間をprimary endpointとして、1群55例で非劣性デザインにより検証し、通常用量 FP+RTに比べ低用量FP+RTの非劣性が証明された場合に第Ⅲ相試験へ進む。第Ⅲ相試験を続けた場合、1群182例でパワーを有する非劣性試験となる。
結果と考察
2004年3月に症例登録を開始したが当初の登録数は予定ペースを大きく下回った。そこで適格規準緩和を含むプロトコール改訂を行い、登録期間を延長し、さらに登録推進策としてJCOG消化器がん内科グループの13施設が合流した。この間に治療関連死が7例認められ、登録中止規定に該当したので、07年2月末にて登録を一時中止し、プロトコール改訂後の8月に再開した。08年3月に107例の登録となり、ランダム化第II相部分の評価とその結果に基づく第III相試験への移行を検討する時期に近づきつつある。
結論
低用量シスプラチン/5-FU・放射線同時併用療法の有効性と安全性を科学的に検証するために、ランダム化第II/III相試験を進行中である。治療関連死亡のために登録の一時中止を余儀なくされたがプロトコール改訂後に再開し、ランダム化第II相部分の評価と第III相試験への移行を検討する時期に近づきつつある。

公開日・更新日

公開日
2009-11-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200721007B
報告書区分
総合
研究課題名
第Ⅳ期食道がんに対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 暢敏(東京歯科大学市川総合病院外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 篠田 雅幸(愛知県がんセンター)
  • 加藤 健(国立がんセンター中央病院)
  • 清水 秀昭(栃木県立がんセンター)
  • 宇田川 晴司(虎の門病院 )
  • 山名 秀明(久留米大学医学部 集学治療センター)
  • 青山 法夫(神奈川県立がんセンター )
  • 中村 努(東京女子医科大学)
  • 河野 辰幸(東京医科歯科大学)
  • 松原 久裕(千葉大学大学院 先端応用外科)
  • 藪崎 裕(新潟県立がんセンター )
  • 渡辺 剛(京都大学医学研究科 腫瘍外科学)
  • 矢野 雅彦(大阪府立成人病センター )
  • 栗田 啓(国立病院機構四国がんセンター )
  • 三梨 桂子(国立がんセンター東病院)
  • 池田 健一郎(岩手医科大学 第一外科)
  • 北川 雄光(慶應義塾大学医学部)
  • 幕内 博康(東海大学医学部)
  • 池内 駿之(東京医療センター)
  • 神田 達夫(新潟大学医学部)
  • 辻仲 利政(大阪医療センター )
  • 坪佐 恭弘(静岡県立静岡がんセンター )
  • 多幾山 渉 (広島市立安佐市民病院)
  • 藤 也寸志(九州がんセンター )
  • 高木 正和(静岡県立総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、遠隔臓器転移を伴わない高度進行食道がんに対する標準治療の確立を目的とする。T4 and/or M1リンパ節転移例を有する食道扁平上皮癌を対象とし、通常用量シスプラチン+5-FU(FP)+ 放射線療法(RT)と、その使いやすさからエビデンスがないまま本邦で普及している低用量FP+RTとのランダム化第II/III相試験(JCOG0303)を、JCOG食道がんグループの多施設共同研究として行う。
研究方法
切除不能のStageⅢ、Ⅳで適格条件に合致しICが得られた食道扁平上皮癌症例を登録し、以下のA, B,二つの治療群に分ける。
(A) 通常用量 FP・RT同時併用療法
Cisplatin 70 mg/m2/dayはDay 1, 29にvolus投与。5-FU 700mg/m2/dayはDay 1-4, 29-32に持続静注。放射線治療は60Gy/30×/6W。
(B) 低用量 FP・RT同時併用療法
Cisplatin 4mg/m2/dayは連日1時間で投与。5-FU 200mg/m2/dayは月〜金曜日まで持続静注。放射線治療は同上。
 ランダム化第Ⅱ相試験では全生存期間をprimary endpointとして、1群55例で非劣性デザインにより検証し、通常用量 FP+RTに比べ低用量FP+RTの非劣性が証明された場合に第Ⅲ相試験へ進む。第Ⅲ相試験を続けた場合、1群182例でパワーを有する非劣性試験となる。
結果と考察
2004年3月に症例登録を開始したが当初の登録数は予定ペースを大きく下回った。そこで適格規準緩和を含むプロトコール改訂を行い、登録期間を延長し、さらに登録推進策としてJCOG消化器がん内科グループの13施設が合流した。この間に治療関連死が7例認められ、登録中止規定に該当したので、07年2月末にて登録を一時中止し、プロトコール改訂後の8月に再開した。08年3月に107例の登録となり、ランダム化第II相部分の評価とその結果に基づく第III相試験への移行を検討する時期に近づきつつある。
結論
低用量シスプラチン/5-FU・放射線同時併用療法の有効性と安全性を科学的に検証するために、ランダム化第II/III相試験を進行中である。治療関連死亡のために登録の一時中止を余儀なくされたがプロトコール改訂後に再開し、ランダム化第II相部分の評価と第III相試験への移行を検討する時期に近づきつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200721007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
第IV期(stage Ⅳ)食道がん切除例の予後は極めて不良であり、外科手術に代わり化学放射線併用療法が標準的治療になりつつある。JCOG食道がんグループは、低用量シスプラチン/5-FU(FP) +放射線治療RTの有効性・安全性の検証のために、標準容量FP+RTと低用量FP+RTとのランダム化第II / III相試験(JCOG0303)を施行中である。08年3月に107例の登録となり、ランダム化第II相部分の評価とその結果による第III相試験への移行の検討に近づきつつある。
臨床的観点からの成果
ランダム化第II相試験の結果、低用量FP+RTの非劣性が証明されれば、この時点でこれに代わる新たな治療modalityがとくに見当たらないので、このまま予定の第III相試験へ移行する。この結果により標準容量/低用量の優劣が判明すれば、第IV期(stage Ⅳ)食道がんに対する標準治療が確立される。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamana H,Tanaka T,Fujita H,et al
Second-Line Combination Chemotherapy with Docetaxel for Clisplatin-Pretreated Refractory Metastatic Esophageal Cancer:A Preliminary Report of Initial Experience
Chemotherapy , 53 , 449-453  (2007)
原著論文2
中村 努、大田正穂、 成宮孝祐、他
予後よりみた食道癌に対する化学放射線療法後salvage手術の適応
癌の臨床 , 53 (10) , 619-623  (2007)
原著論文3
Matsubara H
Salvage surgery for esophageal carcinoma after definitive chemoradiation therapy.
Ann Thorac Cardiovasc Surgery , 13 (5) , 293-295  (2007)
原著論文4
Shiratori T, Okazumi S, Matsubara H, et al.
Have surgical outcomes of pathologic T4 esophageal squamous cell carcinoma really improved? Analysis of 268 cases during 45 years of experience.
J Am Coll Surg. , 206 (1) , 48-56  (2008)
原著論文5
Uno T, Isobe K, Mastubara H,et al
Concurrent chemoradiation for patients with squamous cell carcinoma of the cervical esophagus
Dis Esophagus , 20 (1) , 12-18  (2007)
原著論文6
Kanai M, Mastumoto S, Watanabe G,et al
Retrospective analysis of 27 consecutive patients treated with docetaxel/nedaplatin combination therapy as a second-line regimen for advanced esophageal cancer
Int J Clin Oncol , 12 (3) , 224-227  (2007)
原著論文7
Takeuchi S, Ohtsu A, Minashi K, et al
A Retrospective Study of Definitive Chemoradiotherapy for Elderly Patients With Esophageal Cancer
Am J of Clin Oncol , 30 (6) , 607-611  (2007)
原著論文8
竹内 裕也、 北川 雄光、 安藤 暢敏、他
胸部食道癌に対する根治的化学放射線療法後salvage手術の検討
癌の臨床 , 53 (10) , 599-604  (2007)
原著論文9
Tanabe T, Kanda t, Kosugi S, et al
Extranodal Spreading of Esophageal Squamous Cell Carcinoma:Clinicopathological Characteristics and Prognostic Impact
World J Surg , 31 , 2192-2198  (2007)
原著論文10
佐藤 弘、 坪佐 恭宏、 朴 成和、他
胸部食道癌に対する根治目的放射線化学療法後のsalvage手術の意義と適応について
癌の臨床 , 53 (10) , 635-639  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-09-25
更新日
-