難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200721002A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大西 一功(浜松医科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 竜三(愛知淑徳大学 )
  • 大竹 茂樹(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 直江 知樹(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 本田 純久(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 小林 幸夫(国立がんセンター 中央病院)
  • 金丸 昭久(近畿大学 医学部)
  • 品川 克至(岡山大学 医学部歯学部附属病院)
  • 脇田 充史(名古屋市立東市民病院)
  • 宮脇 修一(群馬県済生会前橋病院)
  • 薄井 紀子(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
27,381,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、生物学的・臨床的に多様な成人白血病に対しキメラ遺伝子等のスクリーニングによる疾患の層別化を行ない、分子基盤に基づいた新たな標準的治療法の確立を目的とする。
研究方法
 本年度は、急性骨髄性白血病(AML)では新規分子標的薬ゲムツズマブ・オゾガマイシンと化学療法との併用による第I/II相試験AML206において、用量決定のための第I相試験を行った。慢性骨髄性白血病(CML)についてはイマチニブの至適投与法決定のためのCML207試験プロトコールを策定し症例登録を開始した。また急性骨髄性白血病患者全体の治療・生存実態、移植療法の実情を把握するため前向きコホート研究AML-CS07を開始した。本研究は成人白血病治療共同研究グループJALSGとの共同研究である。
結果と考察
 急性骨髄性白血病に対するAML206試験では、臨床第I相試験は計画通り進行している。第II相試験より第III相試験へと段階的な臨床研究を進め、本邦においてもゲムツズマブ・オゾガマイシンを含む治療法が難治性AMLの治療成績の向上に寄与する可能性が期待される。慢性骨髄性白血病に対する試験では、CML202試験の観察期間中央値3年の中間解析により、イマチニブの日本人CML患者に対する有効性は欧米と同等以上であるとともに、300mgの低用量でも十分である可能性が示唆された。イマチニブの至適投与量、投与法についてはまだ未解決な点も多く、CML207試験では積極的増量による有効性の検討を行っている。他の試験における長期成績の解析については、急性骨髄性白血病AML97試験では、50歳以下の予後中間群および不良群に対しては同種移植が化学療法に勝る事が示された。また急性前骨髄球性白血病APL97試験では、分子寛解症例に対して強化した維持療法追加の成績は観察のみの群に比べ有意に悪く、分子寛解が得られた症例では強化した維持療法は不適切である事が判明した。
 現在、白血病に対する数多くの新規分子標的薬剤の開発が進められており、こうした薬剤をどの様に位置づけ、従来の化学療法とどう組み合わせるかが大きな課題である。
結論
 成人急性骨髄性白血病の新規併用薬としてのゲムツズマブ・オゾガマイシンの安全性は確認されつつあり、慢性骨髄性白血病についてはイマチニブの日本人における至適用量の検討の必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-07-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200721002B
報告書区分
総合
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-がん臨床-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大西 一功(浜松医科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 竜三(愛知淑徳大学)
  • 大竹 茂樹(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 直江 知樹(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 本田 純久(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 小林 幸夫(国立がんセンター 中央病院)
  • 金丸 昭久(近畿大学 医学部)
  • 品川 克至(岡山大学 医学部歯学部附属病院)
  • 脇田 充史(名古屋市立東市民病院)
  • 宮脇 修一(群馬県済生会前橋病院)
  • 薄井 紀子(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、生物学的・臨床的に多様な成人白血病に対しキメラ遺伝子等のスクリーニングによる疾患の層別化を行ない、分子基盤に基づいた新たな標準的治療法の確立を目的とする。
研究方法
 本研究期間中の新規プロトコールとしては、急性骨髄性白血病(AML)では、新しい分子標的治療薬ゲムツズマブ・オゾガマイシンと化学療法の併用による第I/II相試験(AML206試験)を策定し、症例登録および治療を開始した。また急性骨髄性白血病患者全体の治療・生存実態、移植療法の実情を把握するため前向きコホート研究(AML-CS07研究)を開始した。再発急性前骨髄球性白血病(APL)では、亜砒酸による寛解導入療法後、自己末梢血幹細胞移植を施行するAPL205R試験を策定し開始した。慢性骨髄性白血病(CML)については、分子標的薬イマチニブの至適投与法決定のためイマチニブの標準的増量と積極的増量を比較する第III相試験(CML207試験)を策定し開始した。骨髄異形成症候群(MDS)については、高リスクMDSを対象として化学療法にG-CSFを同時併用する第II相試験(MDS206試験)を策定し開始した。本研究は成人白血病治療共同研究グループJALSGとの共同研究である。
結果と考察
 急性骨髄性白血病に対しては、AML97試験において強化した地固め療法は従来の維持療法と比較して効果は同等であり、治療期間が短縮でき医療費の削減につながる事が示された。また急性前骨髄球性白血病APL97試験では、分子寛解症例に対して強化した維持療法追加の成績は観察のみの群に比べ有意に悪い事が判明した。Ph陽性リンパ性白血病では分子標的薬イマチニブ併用化学療法の極めて優れた効果が明らかにされた。またイマチニブによる慢性骨髄性白血病CML202試験の長期成績は欧米の大規模試験と同等の結果を示したが、日本人においては至適用量の検討の必要性が示された。新規試験は順調に症例登録が行われている。現在、白血病に対する数多くの新規分子標的薬剤の開発が進められており、こうした薬剤をどの様に位置づけ、従来の化学療法とどう組み合わせるかが大きな課題である。
結論
 成人急性骨髄性白血病の新規併用薬としてのゲムツズマブ・オゾガマイシンの安全性は確認されつつある。Ph陽性白血病および慢性骨髄性白血病についてはイマチニブの有効性が明らかにされ、日本人における至適用量の検討の必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200721002C