QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200720046A
報告書区分
総括
研究課題名
QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発に関する研究
課題番号
H19-3次がん-一般-031
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
内富 庸介(国立がんセンター東病院臨床開発センター 精神腫瘍学開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 下山 直人(国立がんセンター中央病院 手術部)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 岡村 仁(広島大学大学院保健学研究科)
  • 小川 朝生(国立がんセンター東病院臨床開発センター 精神腫瘍学開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者のQOL向上を目指した各種患者支援プログラムを開発する。
研究方法
日本人にとっての「望ましい生・死の過程・死」(終末期のQOL)の概念化研究の結果をもとに、QOLを構成する各概念を向上させるために必要なケアプログラムの提示を行う。また、がん患者のつらさ及びニーズに関して、身体・心理・スピリチュアルの多次元から調査を行い、評価法を開発する。続いて各種患者支援プログラムを開発する。同時に、文献の系統的レビューによるガイドラインの作成を行う。最終的に、患者支援プログラムを体系化し、ガイドラインとあわせてがん患者包括的支援システムを開発し、全国的な普及を図る。
結果と考察
1)外来通院中のがん患者を対象に質問紙調査を実施した結果、わが国のがん患者は悪い知らせを伝えられる際に、明確な情報提供、質問の奨励、情緒的サポートを望むことが示唆された。がん専門医を対象に、開発したコミュニケーション技術研修プログラムの有用性を検討する研究を実施し、現在解析中である。また、コミュニケーション技術研修のファシリテーター養成プログラムを開発した。2)オピオイドペプチドDALDAの神経障害性疼痛に対する鎮痛効果を検討し、有効性が示唆された。3)QOLの構成要件である心理・社会・スピリチュアルな要素に対するケア指針の体系化を目的に、患者・遺族・医療者が助けになると考えるケアの方法を収集する調査を実施した。現在データ蓄積中または解析中である。また、上記の要素に気づきケアを行うための教育プログラムを開発し、看護師対象の無作為化比較試験を実施した結果、自信、無力感、感情的疲労等で有意な介入効果があった。4) 乳がん女性の心理社会的苦痛を緩和するための看護介入モデルを開発し、パイロット研究を実施した。現在データ蓄積中である。5)これまでの調査結果や多職種間での検討により、患者のニーズを尋ねるための指針作成等、がんリハビリテーションプログラム開発に必要な方向性を示した。6)化学療法後の脳構造の変化についてMRI画像を用いて検討した結果、化学療法1年後に前頭葉と海馬傍回に体積の減少を認めた。また、体積減少と記憶能力との間に関連が推測された。
結論
患者・家族・医療者を対象とした調査や、調査に基づくプログラム開発・有効性の検証を進めている。本研究が、がん患者のQOL向上を目指した包括的支援システムの開発・普及につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-