QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200720045A
報告書区分
総括
研究課題名
QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究
課題番号
H19-3次がん-一般-030
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
江角 浩安(国立がんセンター東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 林 隆一(国立がんセンター東病院 頭頸科)
  • 井本 滋(杏林大学医学部付属病院 乳腺外科)
  • 名川 弘一(東京大学大学院 大腸肛門外科)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院 大腸骨盤外科)
  • 内田 淳正(三重大学 医学部整形外科)
  • 中塚 貴志(埼玉医科大学 形成外科)
  • 佐々木 寛(東京慈恵会医科大学付属柏病院 婦人科)
  • 萩原 明郎(京都府立医科大学 消化器外科)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院 放射線診断)
  • 土岐 祐一郎(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 古瀬 純司(杏林大学医学部付属病院)
  • 武藤 学(京都大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
94,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん治療に求められるQOLは「生存」であるとする考え方が一般的であったが、機能温存手術の技術開発、臓器温存療法の進歩で、がん治療に伴う患者QOLの低下を軽減させることを目的とする。現在の技術では機能温存が難しい治療の場合でも、再生医療技術を用いこれを克服する方法の開発も目指す。内科的治療は根治性においては十分とはいえない。特に抗癌剤の特性から、多くの場合治療は大きな身体的、精神的負担をかけており、治療に伴うQOLの低下は著しい。この研究班では、特に治癒の難しい固形癌を中心に低毒性の薬物療法の開発、及び侵襲の少ない診療法の開発も目的とする。
研究方法
研究の方向性は三点に大別される。1)切除可能例に対して根治性を犠牲にせずに機能温存、臓器温存を可能とする治療法の開発、2)がんの治療あるいは浸潤に伴って損なわれる様々なQOLを向上するための治療法の開発、3)難治のがんに対する低毒性の薬物療法の開発である。
結果と考察
研究成果1)咽頭部での初期頭頚部がんの概念を作り、表在がんに対して内視鏡的粘膜切除を開発し、機能温存法を開発した。2)硬部・軟部欠損に対する再建法を開発し、下顎骨欠損克服法を確立した。3)食道癌化学放射線療法後遺残再発例に対する内視鏡的救済治療として光線力学療法を開発した。4)転移性骨腫瘍に対して低侵襲手術を実現するため、磁性体温熱療法、光線力学療法の補助療法を併用した縮小手術を確立した。5)新規開発したリンパ管・細静吻合術による子宮癌術後下肢リンパ浮腫改善予防術を開発し臨床試験を開始した。6)骨盤内悪性腫瘍に対する手術神経切除を含めた根治的手術を施行し、神経再生チューブを臨床応用し、神経機能の再生を認めた。7)I期乳がんに対するラジオ波焼灼療法の有効性を確認した。8)アクチゲンニンなどの低酸素・低栄養環境に特異性の高い、正常組織に低毒性抗腫瘍剤を見出し、併用両方を開発した。
結論
1)各種の臓器温存法、組織再建法を用い低侵襲治療法、機能再建法を確立し、根治性の高い治療法を安全に施行する道を開き治療後のQOLの向上を図ることが出来る。
2)感受性の予測で、薬物、放射線療法の無駄がなくなり、安全に治療を行うことが出来る。
3)アクチゲニンの含量が高く、生薬としても十分に抗腫瘍性が期待できる投与量を確保できる。他の抗がん剤と併用も有効で、比較的早く臨床導入可能であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-