増殖型ベクターと幹細胞のオリジナル技術による革新的な癌遺伝子治療法の開発

文献情報

文献番号
200720044A
報告書区分
総括
研究課題名
増殖型ベクターと幹細胞のオリジナル技術による革新的な癌遺伝子治療法の開発
課題番号
H19-3次がん-一般-029
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小戝 健一郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科細胞生物構造学)
研究分担者(所属機関)
  • 室伏 善照(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科細胞生物構造学 )
  • 小宮 節郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科整形外科学)
  • 瀬戸口 啓夫(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科整形外科学)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科視覚疾患学)
  • 隅田 泰生(鹿児島大学大学院理工学研究科生体適合材料工学)
  • 高橋 知之(久留米大学医学部創薬再生医療学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
独自開発のm-CRA(多因子で増殖制御・癌標的治療化できるアデノウイルス)技術を基盤に、1. 世界初の「7因子搭載m-CRA」のSurv.m-CRAを開発し臨床化を目指す、2. 癌の染色体異常標的型の新m-CRAの開発、3. 癌幹細胞を標的・治療する新コンセプトのm-CRAの開発を行う、ことである。
研究方法
1. 7因子搭載の新型Surv.m-CRAの開発:テロメラーゼ依存性m-CRA(Tert.m-CRA)、我々オリジナルのSurvivin依存性m-CRA(Surv.m-CRA)を、我々のm-CRA作製法で、E1部の改変、治療遺伝子ユニットの挿入、ファイバーの改変の7因子搭載m-CRA化し、機能解析する。
2. 癌の染色体異常標的型の新たなm-CRAの開発:染色体制御に関連する候補遺伝子A, Bの内因性発現レベル、そのA, B遺伝子プロモーター活性を、癌と正常細胞で調べる。
3. 癌幹細胞を標的・治療する新たなm-CRA癌遺伝子治療の開発:癌幹細胞を標的治療するm-CRAを開発するため、まず癌幹細胞を濃縮分離し、網羅的解析で標的遺伝子を見い出す。

結果と考察
1. 7因子搭載の新型Surv.m-CRAの開発:ウイルス増殖の4因子制御化による精密な癌特異化、癌治療効果を増強させる癌特異的プロモーター/治療遺伝子の2因子、1. 癌細胞への遺伝子導入効率を上昇させるRGD変異ファイバーを搭載した、世界初の7因子搭載型m-CRAが、Tert.m-CRA、Surv.m-CRAで作製できつつある。来年度以降、解析を進めることで、その有用性を明確にし、臨床化へ展望を開く。
2. 癌の染色体異常標的型の新たなm-CRAの開発:A, Bの内因性遺伝子発現、両プロモーター活性は、いずれも癌細胞優位であった。次にこのA, Bのプロモーターを用い、A, B依存性m-CRAを作製した。来年度以降、機能解析を進める。
3. 癌幹細胞を標的・治療する新たなm-CRA癌遺伝子治療の開発:幾つかの癌細胞株から、①SP細胞、②CD133陽性細胞の2種類の方法で、癌幹細胞分画を同定し濃縮分離できた。次にm-CRAに搭載する因子の探索として、癌幹細胞のマーカーや分子(プロモーター)を、DNAマイクロアレイでの発現遺伝子、細胞表面の糖鎖変化、という網羅的探索も進めている。来年度以降、標的分子がみつかったら、上記と同様の研究アプローチで癌幹細胞標的m-CRAを開発していく。
結論
1、2、3の順番に、確実性の高い取り組みから、より挑戦的(革新的)な取り組みという性格であり、初年度は順調に進んだ。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
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