早期胃がん内視鏡切除用磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200720042A
報告書区分
総括
研究課題名
早期胃がん内視鏡切除用磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置の開発に関する研究
課題番号
H19-3次がん-一般-027
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小林 寿光(国立がんセンターがん予防・検診研究センター検診技術開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 石山 和志(東北大学電気通信研究所)
  • 大原 健一(ペンタックス株式会社)
  • 玉川 克紀(株式会社玉川製作所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
21,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 早期胃がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)において、病変を微細鉗子で把持し、体外から印加した磁気により固定、牽引して手術を補助する、磁気誘導微細鉗子機器装置(磁気アンカー機器装置)が、臨床の現場で標準的に使用できるように開発を行う。
研究方法
 磁気アンカー駆動装置はMRIより低いとはいえ、微細鉗子を吸引するために磁力を発生する。その結果、周囲の強磁性体の磁気吸引が発生し、飛び込み事故が起こり得ることが大きな問題である。そこで適切な遮蔽装置案を種々構築すると共に、実際に試作してその効果を確認する。その他、磁気アンカー駆動装置は軽量化を図り、磁気アンカー自体にも改良を加える。また磁界内で安定した動作が可能な、磁気対応内視鏡に関して検討を行う。
結果と考察
 危険物の飛び込み事故防止に関しては、磁気アンカー駆動装置と検査台とを一体化した遮蔽装置、開放性を保ちつつ磁性体の飛び込みを防止するものなど、種々の解決案を構築して特許出願をした。その後、強磁性体の飛び込み実験を行い、その状態や可能性を確認した。磁気アンカー駆動装置周囲の磁界強度を測定し、それを基に強磁性体の磁気吸引力を試算した。この試算値と実測値を基にして、被吸引物の自重と吸引力のバランスから遮蔽物の設置位置を設定した。検査室での実際の使用や患者への閉塞感発生にも配慮して、遮蔽装置を試作した。飛び込み実験に使用した危険物等を使用してその効果を確認したところ、簡易な構造にもかかわらず実験では適切な事故防止効果が確認された。今後その他の安全策と併せ、種々の可能性を想定して適切な安全機構を開発していく。
 磁気アンカー駆動装置に関しては、不要な下方電磁石装置の削除と構造の見直しを行い、約320kg軽量化した装置を試作した。今後、相反する低消費電力化と併せて開発を進める。
 磁気アンカー(微細鉗子)も挿入機構と併せて各種改良を行い、実際に製作して動作検証を行った。現時点においてまだ動作は不安定であるが、今後若干の改良を行い適正化していく予定である。
 磁気対応内視鏡の開発は、新たな素材からなる構造部材を試作し、MRIに対しても障害を与えないことを確認した。現時点では動作が不安定であるが、基本的にこの素材を使用して開発を継続していく。
結論
 磁気アンカー機器装置標準化装置の初年度開発を、安全機構の試作と検証を含め行った。

公開日・更新日

公開日
2008-04-30
更新日
-