新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200720035A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな胃がん検診システムに必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究
課題番号
H19-3次がん-一般-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 徹(山形県立がん・生活習慣病センター)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
  • 芳野 純治(藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院)
  • 山崎 秀男(大阪がん予防検診センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
21,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策推進基本計画の目標として、がん検診の受診率の向上とがん検診の質の向上があげられている。厚生労働省がん研究助成金による研究班(祖父江班)による胃がん検診ガイドラインでは、胃がん検診として推奨できるのは、X線検査による検診のみで、内視鏡検査やペプシノゲン検査によるものは証拠が十分でないとされていることから、上記の目標を達成するためには、現状のX線検査による検診の拡大を図ることが必要となる。しかし、X線検査の読影を担当する医師の減少などにより、現体制の拡大には限界があることが危惧されていることから、より効果的で、かつ効率的な新たな胃がん検診システムの構築を検討する必要性があると思われる。そこで、われわれは、内視鏡検査による胃がん検診の妥当性を検討することを目的とした研究を計画した。
研究方法
1.内視鏡検診の有効性の評価に関する研究:すでに内視鏡検査による胃がん検診を実施している地域において、胃がん死亡者を症例、生存者を対照とし、検診受診を暴露要因とした症例対照研究により、内視鏡検診の死亡率減少効果を評価する。
2.内視鏡検査の精度の評価に関する研究:現状で実施されている胃X線検査による胃がん検診受診者のファイルと地域がん登録胃がん罹患ファイルと記録照合をすることにより、精密検査として受診した内視鏡検査の偽陰性率を測定する。
3.内視鏡検診に関する情報の収集:すでに内視鏡検診を実施している研究者に研究協力者として参加を要請し、内視鏡検診の発見症例の早期がんの割合や予後などの臨床上の情報、受診率や初回受診者の割合などマネジメントにかかわる情報、偶発症などの不利益や問題点に関する情報などの報告を依頼した。
結果と考察
1.内視鏡検診受診者と未受診者を地域がん登録で追跡した結果、胃がん死亡率減少効果が観察された地域と観察されない地域があり、精度管理の問題が内在している可能性が示唆された。現在、内視鏡検診の死亡率減少効果を検討する症例対照研究が進行中である。
2.地域がん登録を用いた追跡法による精度の評価では、内視鏡検査の偽陰性率はX線検査を下回っていたが、ここでも医師の診断技術の均てん化を含めた精度管理の重要性が示唆された。
3.全国集計データの解析では、内視鏡検診は、がんの発見率を増加させるものの、発見がんの早期がん割合は必ずしも増加させていないことが判明した。
結論
症例対照研究の結果を踏まえて、適切な胃がん検診システムの構築について提言する。

公開日・更新日

公開日
2008-05-27
更新日
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