社会学・心理学等との連携による国民のリテラシー向上と患者の納得形成に関する研究

文献情報

文献番号
200720014A
報告書区分
総括
研究課題名
社会学・心理学等との連携による国民のリテラシー向上と患者の納得形成に関する研究
課題番号
H18-3次がん-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 英昭(杏林大学医学部医療管理学)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学 政治経済学部)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学 産婦人科学)
  • 宮腰 重三郎(東京都立老人医療センター 血液科)
  • 小松 恒彦(筑波記念病院 血液内科)
  • 小原 まみ子(亀田総合病院 腎臓内科)
  • 中村 利仁(北海道大学医学部 社会医療管理学)
  • 山口 拓洋(東京大学医学部附属病院 臨床試験データ管理学)
  • 湯地 晃一郎(東京大学医科学研究所附属病院 内科)
  • 松村 有子(東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム)
  • 濱木 珠恵(東京都立府中病院 輸血部)
  • 小林 一彦(JR東京総合病院 内科)
  • 久住 英二(福島刑務支所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
17,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
適切な情報提供を求める患者の声が反映されたがん対策基本法が成立し、医療情報の提供体制の構築が必要とされている。一方、不十分な理解に基づいたセンセーショナルな医療報道が昨今の国民の医療不信の一因であると考えられる。メディアによる様々な医療報道内容やその報道が与えた影響の検証、様々な媒体と連携した健全な医療メディア育成モデルの構築とその検証を行い、国民のリテラシー向上に資する。
研究方法
患者や家族、国民の医療情報入手手段に関する調査、がん医療に対する認識調査により、その情報源や情報に対する満足度を明らかにする。医療報道の具体的事例に基づき、医療報道の特性と報道が与える影響を解析する。医療者と報道者が、医療関係の記事の評価検証(「日本版」メディア・ドクター)を通じて活発な議論や情報交換を行い、メディア報道者の医療リテラシーの向上と医療者の適切な情報提供の推進をはかる。社会学・心理学的検討をふまえ、国民のリテラシー向上に必要な医療メディア育成モデルの構築とその検証を行う。
結果と考察
一般市民へのアンケート調査の結果、テレビや新聞報道によってがん医療格差ありという認識が生じていることが明らかになった。マスメディア報道は国民の医療に関する認識に多大な影響を与えている。がん医療番組が医師の薬剤処方に影響を与えた事例、医療者の声明や発言が医療事故報道を変化させた事例等を、医療者と報道者が検証し、医療報道の特性と双方の齟齬が明らかになった。新聞報道記事件数に影響を与えるのは政策や具体的事例事件であった。「日本版」メディア・ドクターの試みでは医療記事の客観的な評価項目を設定し、報道内容の評価を開始した。新規医療メディア育成モデルとして、メディアチェーンを用いた情報提供モデルの実践、学会ホームページからの一般市民や患者向け情報提供の提言、院内設置フリーペーパーを用いた情報提供の試みを行った。
結論
国民の医療に関する認識にマスメディアは多大な影響を与えているため、報道者の医療リテラシーを高める必要がある。このためには医療者と報道者の活発な情報交換と共に報道内容の評価検証が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-08-08
更新日
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