文献情報
文献番号
200720002A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験
課題番号
H18-3次がん-戦略-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大内 憲明(東北大学大学院(医学系研究科))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
191,010,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
第3次対がん総合戦略研究事業では、がん罹患率と死亡率の激減を目指しているが、増加し続ける乳がん死亡を減少へ転じる方策を確立することが戦略を成功へ導く鍵となる。本研究では、40歳代女性を対象とする乳がん検診の方法として、超音波による検診の標準化を図った上で、マンモグラフィに超音波検査を併用する(介入)群と併用しない(非介入)群との間でランダム化比較試験を行い、2群間で検診精度と有効性を検証することを目的とする。
研究方法
始めに、超音波検査による乳がん検診の標準化と普及にむけて超音波による乳がん検診ガイドラインを作成する。次に、超音波による乳がん検診の有効性を検証するために、40歳~49歳女性を対象に、マンモグラフィ+超音波群(介入群) と、マンモグラフィ群(非介入群)の2群を設定して、ランダム化比較試験を実施する。研究期間内に評価するプライマリ・エンドポイントを感度・特異度及び発見率とし、セカンダリ・エンドポイントを追跡期間中の累積進行乳がん罹患率とする。
結果と考察
1.超音波検査による乳がん検診の標準化と普及:超音波による乳がん検診の標準化に向けてガイドラインを作成し、乳房超音波講習会を完成させ、全国12ヶ所で実施した。
2.有効性検証のためのランダム化比較試験の実施:1)研究開始から6ヶ月間で40歳代女性8,328名が比較試験に同意の上、参加した。2)研究参加団体は全国に及び大規模臨床試験が日本でも実施可能であることを示した。
なお、当初計画案の目標受診者数各群6万人、うち各群5万人を2回実施については、下記の事由により困難と判断する。1)疫学研究に関する倫理指針から臨床研究に関する倫理指針への変更に伴い、個別インフォームド・コンセント等に要する研究費のコスト増(膨大な説明資料、DVD作成、CRC要員の配置等)が発生した。2)がん戦略研究運営委員会、同倫理委員会による研究実施計画書の承認が平成19年度半ばにずれ込んだことにより、比較試験開始が平成19年9月となったため、予定被検者数の確保が困難となった。
2.有効性検証のためのランダム化比較試験の実施:1)研究開始から6ヶ月間で40歳代女性8,328名が比較試験に同意の上、参加した。2)研究参加団体は全国に及び大規模臨床試験が日本でも実施可能であることを示した。
なお、当初計画案の目標受診者数各群6万人、うち各群5万人を2回実施については、下記の事由により困難と判断する。1)疫学研究に関する倫理指針から臨床研究に関する倫理指針への変更に伴い、個別インフォームド・コンセント等に要する研究費のコスト増(膨大な説明資料、DVD作成、CRC要員の配置等)が発生した。2)がん戦略研究運営委員会、同倫理委員会による研究実施計画書の承認が平成19年度半ばにずれ込んだことにより、比較試験開始が平成19年9月となったため、予定被検者数の確保が困難となった。
結論
本研究におけるランダム化比較試験は実質1年目にあたるが、試験開始から6ヶ月間で40歳代女性の多くが比較試験に同意の上、参加した。このことは、わが国において、大規模臨床試験により科学的根拠に基づく医療(EBM)を創成できる可能性を示している。しかし、当初の計画通りに超音波による乳がん検診の有効性を検証するためには、平成20年度に両群で合計9万人の研究参加者が必要となる。研究班は人的、資金的に多くの困難に直面しており、 本戦略研究を成功へと導くためには強力な支援体制づくりが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2008-04-21
更新日
-