「周産期母子医療センターネットワーク」による医療の質の評価と、フォローアップ・介入による改善・向上に関する研究

文献情報

文献番号
200719024A
報告書区分
総括
研究課題名
「周産期母子医療センターネットワーク」による医療の質の評価と、フォローアップ・介入による改善・向上に関する研究
課題番号
H19-子ども-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
藤村 正哲(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学母子総合医療センター・新生児部門)
  • 上谷良行(兵庫県立こども病院・小児科学)
  • 田村正徳(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 板橋家頭夫(昭和大学医学部・小児科学)
  • 三科 潤(東京女子医科大学周産母子医療センター・小児保健学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の中核的周産期医療施設における最新医療の標準化を行う。それによって、妊娠の初期から出産、新生児医療、育児支援を通じてとぎれなく質の高いケアが提供される体制の構築・向上に直接的に寄与する研究を目的とする多施設臨床試験のインフラと技術の蓄積を進め、新生児学におけるエビデンス確立研究を推進し、国際的標準化に資する。
研究方法
参加施設の入院患者共通データベースを整備する。データベースから算出される指標の優秀な施設をもって「ベンチマーク」とし、多施設における取り組みに共通目標を与える。予備的仮説で新生児・乳幼児の罹病・死亡率改善と長期予後改善に有効であるとされる治療法を取り上げ、有効な医療である根拠を実証するためのエビデンス確立臨床研究を実施する。本研究参加施設において行われる多施設ランダム化比較試験における児の予後評価の為に必要なフォローアップ体制を構築し、key ageには、ハイリスク児フォローアップ研究会により作成されたプロトコールを用いた健診をすべての参加施設で実施できるようにする。 新生児心肺蘇生法の研修プログラムの作成と研修システムの構築とその効果の評価。在胎週数別出生時体格基準値を改訂。
結果と考察
全国の主要周産期医療施設で2003年、2004年、2005年に出生して治療を受けた出生体重1500g以下の極低出生体重児のデータベースを構築した。その結果、各年次に2145例、2777例、3002例の極低出生体重児が登録された。これは全国の極低出生体重児の約40%に相当する集団となる。そこで、このデータベースを用いて、極低出生体重児の生命予後、生命予後に影響を及ぼす因子、施設間格差、および3年間の変化について検討した。その結果、全体の救命率は諸外国に比べて良好であるが、施設間格差が存在することが明らかとなった。今後もこのようなデータベースを用いて、極低出生体重児の予後に影響を与える因子の解析を続ける。
結論
施設別極低出生体重児の死亡率を検討して、分娩数が多いほど、またNICU医師数が多いほど、あるいは夜勤看護師数が多い施設ほど、死亡率は有意に低いことを示した。このことから、大規模でかつ良質な体制を整備した場合、極低出生体重児の生命予後はさらに改善することが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-10-08
更新日
-