小児難治性先天異常症に対する幹細胞遺伝子細胞治療法の開発と臨床応用

文献情報

文献番号
200719022A
報告書区分
総括
研究課題名
小児難治性先天異常症に対する幹細胞遺伝子細胞治療法の開発と臨床応用
課題番号
H19-子ども-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
倉辻 忠俊(国立成育医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター病院)
  • 清河 信敬(国立成育医療センター研究所)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部小児科学教室)
  • 久米 晃啓(自治医科大学分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科小児科学分野)
  • 梨井 康(国立成育医療センター研究所)
  • 小野寺 雅史(筑波大学人間総合科学研究科)
  • 大津 真(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター幹細胞治療研究分野)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
  • 岡田(岩田) 真由美(国立成育医療センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
35,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児難治性先天異常症の根治的治療法開発として、幹細胞遺伝子細胞療法の安全性、有効性及び効率性を向上させることを目的に、前臨床研究に併せ、遺伝子治療の臨床研究計画書の作成及び臨床試験実施の筋道を立てる。
研究方法
1.本邦で遺伝子治療を行ったADA欠損症及び欧実施の慢性肉芽腫症(CGD)の臨床的、遺伝分子学的評価、2.CGD造血幹細胞移植の比較検討、3.ベクターのCD34陽性細胞への導入効率条件設定、4.NOGマウスへの遺伝子導入細胞移植追跡、5.遺伝子治療評価検査方法の確立、6.多施設協同臨床試験体制の確立、7.倫理面での検討と遺伝子治療臨床試験計画書及び患者説明書・倫理申請書の作成、を目的とした。
結果と考察
1.本邦で遺伝子治療したADA欠損症の2例は4年経過で、臨床的にも分子学的にも有効で、有害事象はない。一方、欧州でSF71ベクターを用いたCGD遺伝子治療6名中2名にMDSの有害事象が発症した。米国のMFGSベクターは使用10名、1から10年経過で有害事象はない。2. 23名のCGD患者長期観察分析し、アスペルギルス感染の制御がキーある。日本全国のCGD患者のうち造血幹細胞移植した34名を解析し、HLA一致なら同胞・非血縁ドナーで差がない。前処置はCY+Fluが最善である。前臨床研究では、3.標的細胞への遺伝子導入方法として、サイトカインカクテルと培養条件を決め、更にバッグによる閉鎖系操作方法を確立した。4.遺伝子導入ヒトCD34陽性細胞をCGDモデル免疫不全マウスへの移植し、生着、蛋白発現を確認した。5.遺伝子導入細胞と機能発現の乖離を、骨髄再構築能および抗ヒトgp91抗体の面から解析方法を確立した。挿入変異による発がん性検出のため4系統の遺伝子改変マウスを開発した。Rep・アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子の特定部位導入に成功したが、問題点も大きい。7.倫理面では、欧米での患者説明書のポイントと有害事象の対応システムと対処方法を調査した。当初使用予定であったSF71ベクターによるCGD遺伝子治療臨床試験計画書及び患者瀬説明書を作成したが、MFGSベクターによる方法に切り替えている。
結論
小児難治性先天異常症の中でも直接生死にかかわる免疫不全症を対象とした。遺伝子細胞治療法は根治療法として選択肢の一つである。前臨床試験で遺伝子導入方法、追跡評価法等確立した。遺伝子治療臨床試験計画書及び患者説明書を作成した。ベクターは挿入変異の記録がないMFGSベクターの方が適切である。

公開日・更新日

公開日
2008-10-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-12-16
更新日
-