文献情報
文献番号
200719012A
報告書区分
総括
研究課題名
母親とともに家庭内暴力被害を受けた子どもに被害がおよぼす中中期的影響の調査および支援プログラムの研究
課題番号
H17-子ども-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
金 吉晴(国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部)
研究分担者(所属機関)
- 加茂 登志子(東京女子医科大学附属女性生涯健康センター)
- 笠原 麻里(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,510,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
家庭における虐待・暴力の被害者となった母子が,シェルター等の保護施設を出た後の,一般社会における適応について,母子の身体的,精神的健康等を中期的に調査研究する。また母子の相互交渉過程に注目し、母子のケアシステムについても検討する。
研究方法
一時保護施設などを利用した後,DV被害を主訴として精神科に外来受診している母親とその子ども(対象年齢は2-18歳)を対象とした。ベースライン、3、6,9,12ヶ月後にフォローアップの評価を行った。評価項目はDV被害内容、母子の精神健康並びに、子どものCBCL、注意障害、コルチゾルなどである。また、国立成育医療センター育児心理科を受診したDV状況が明らかな子どもの症例のうち、42例について、主訴、主診断(国際疾病分類ICD‐10による)、DV加害者との生活状況、DV目撃以外の子どもへの直接の虐待の有無等を調査した。
結果と考察
追跡研究からは以下の点が明らかになった。①母親が受けた暴行の程度と、母親,子どもの精神健康の悪化は相関する②調査開始1年を経過してもDVが及ぼした生活への悪影響は改善しない③女児の方が男児よりも精神的健康と行動の問題を生じやすい④母親は子どもの問題のうち、目に見えやすい行動などの外向的な問題の方に注意が向きやすい。小児科を受診する母子に比べて、母親が子どもの体の痛みに気づきにくい。
成育医療センター受診児童の中では、発達の遅れで受診した症例の中にも,DV被害歴が少なくなかった。注意力や多動・衝動性の問題は,DV被害を受けた子どもの多くに見られる。DV加害者と現在も生活したいる場合が多く、約3分の2に別の虐待がみられた。DV被害者が母親であった場合,母子関係に問題をきたしやすかった。
成育医療センター受診児童の中では、発達の遅れで受診した症例の中にも,DV被害歴が少なくなかった。注意力や多動・衝動性の問題は,DV被害を受けた子どもの多くに見られる。DV加害者と現在も生活したいる場合が多く、約3分の2に別の虐待がみられた。DV被害者が母親であった場合,母子関係に問題をきたしやすかった。
結論
母子ともにDV被害を受けた場合、保護をされた後も母子関係の再建が難しいことが多く、互いに攻撃性を向けあうこともあり、子どもの精神状態に広く影響が及ぶことは、両方の調査から裏付けられた。母親は、こどもの体の痛みへの気づきが悪い場合が多く、小児科を受診した母子に比べて、有意に気づきが悪い。これについては、適切な治療的援助を行うことで、支援をする必要がある。母子の養育環境の改善に向けての中期的な治療支援が望まれる。研究班では、Parent Child Interactive Training を導入しており、今後の治療現場への応用が期待される。
公開日・更新日
公開日
2008-05-09
更新日
-