文献情報
文献番号
200719011A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期からの生育環境が思春期の心身の健康に及ぼす影響の評価に関する研究
課題番号
H17-子ども-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
安梅 勅江(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 埋橋 玲子(神戸女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、米国での10年間の追跡研究と比較可能な研究デザインを用い、周産期からの生育環境が思春期の子どもの心身の健康にどのような影響を及ぼすのか実証的な根拠を得るとともに、このテーマに関する国内外の文献を体系的にまとめ、参考となるデータを提供し、周産期からの生育環境の影響をもとに、日本における生育環境整備のモデルを構築することを目的としている。
研究方法
本研究は、全国の98箇所の夜間および昼間保育園において追跡調査している子どもについて、子どもと保護者に対する継続調査を実施した。最終年度は小学生の保護者への調査として、担当専門職および専門調査員による子どもの心身の健康状態に関する面接・質問紙評価、保護者に対する質問紙調査、専門調査員による家庭環境評価、面接調査、環境評価を実施した。回収された質問紙調査票は271名であった。複数の関連要因を用いて思春期の子どもの心身の状態に影響する要因について、多変量解析により影響度の強さを明らかにした。
また各国の経年研究に関する論文を体系的に整理した。
また各国の経年研究に関する論文を体系的に整理した。
結果と考察
多重ロジスティック回帰分析の結果、学童期の「疲れやすい」「不機嫌で怒りっぽい」「登校を嫌がる」「気持ちが沈んでいる」「勉強が手につかない様子」「反抗するようになった」「甘えるようになった」「落ち着きがなくなった」「友達と遊ばなくなった」「家にこもることが多くなった」などの状態に、幼児期の家庭でのかかわりの乏しさや不適切さ、保護者の育児への自信のなさや育児サポートの乏しさが関連することが明らかにされた。育児環境は本来、包括的で継続的なものであり、今回の結果は「両親と一緒に食事する機会」「公園に行く機会」「子どもをたたく機会」という個別の項目にとどまらず、これらを含む育児環境全体のかかわりの質が影響していると捉えることが重要であろう。これらより、子育て支援として、保護者の家庭での子どもとのかかわりの質を高め、育児サポートを充実し、保護者が自信を持って子育てできる環境整備の重要性が示唆された。
結論
学童期の子どもの心身の健康と、幼児期の家庭における適切なかかわり、保護者へのサポートとの関連性がみられた。家庭におけるかかわりの影響度の大きさとともに、保護者が自信を持って育児に取り組むサポートなど、子どもと保護者を対象にした子育て支援の重要性が経年的な根拠に基づき示された。
公開日・更新日
公開日
2008-04-07
更新日
-