文献情報
文献番号
200719002A
報告書区分
総括
研究課題名
保健師・保育士による発達障害児への早期発見・対応システムの開発
課題番号
H17-子ども-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高田 哲(神戸大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 松田宣子(神戸大学 医学部)
- 佐藤眞子(甲南女子大学 人間科学部)
- 小寺澤敬子(姫路市総合福祉通園センター)
- 石岡由紀(神戸親和女子大学 福祉臨床学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は(1)保健所の健康診断やフォローアップ健診で用いる実践的なスクリーニング法、行動評価法の開発.(2)保健師、保育士への教育研修システムの開発.(3)保育所における障害児と周囲の子ども達への指導法の開発.の3点である。
研究方法
(1)神戸市東部(灘区)において発達支援教室(17年開設)を継続運営するとともに、西部(須磨区)にも新たな教室を開設し、システムの普遍性を検証した。さらに、 (2)公立保育所における「発達が気になる子ども」の実態調査.(3)17年度に試作した行動観察用DVDの改良.(4)発達支援教室に対する評価とインターネットを用いた運営法の標準化.(5)2-4歳児に対するグループ行動観察の最終評価と継続事例の検討.(6)「サポートブックの作り方、使い方ガイド」の作成.(7) 通常学校に在籍し学習、行動上の問題を示す児の乳幼児健診での状況調査.を行った。
結果と考察
(1)発達支援教室は、子どもと家族の支援だけではなく、専門職教育、支援者養成にも有用で、どの地域でも実施可能と考えられた.留意事項を纏め、「運営の手引き」を作成した。(2)保育士は、通常保育の子どもたちの9.8%に発達上の問題を持つと感じていた。その割合は、3歳児12.4%、4歳児9.4%、5歳児8.4%と年齢とともに減少した。(3)1歳6カ月-2歳児用の行動観察用DVDに音声説明、異常行動の解説を加え、保健師・保育士の研修教材として役立つようにした。(4) 専用のホームページを設け、学習会の案内、講習会・保育プログラム申し込み、ボランティア登録、必要書類のダウンロードができるようにした。講演内容もDVDで記録し、希望者が閲覧できるようにした。(5)多職種によるグループ行動観察は診断確定・家族の障害受容に有用であったが、家族の受容が難しい場合には時間をかけた支援機関の連携が不可欠であった。(6)家族と専門機関との情報伝達ツールとしサポートブックを取り上げ、「サポートブックの作り方、使い方ガイド」を作成した。 (7) 学習、行動上の問題を示した学童・生徒285名のうち67%は広汎性発達障害児または知的障害児(境界知能を含む)であった。全体での異常指摘率は、1歳6カ月健診24.9%、3歳児健診31.2%と低かったが、自閉性障害児では3歳児健診で半数近くが異常を指摘されていた。
結論
乳幼児健康診断では、精神遅滞、自閉症児を的確に発見し、家族が子どもの発達上の問題を受容できるような支援・教育プログラムを準備すべきと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2008-10-08
更新日
-