子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究

文献情報

文献番号
200719001A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究
課題番号
H17-子ども-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 正義(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 定信(東京女子大学文理学部心理学科)
  • 奥山 眞紀子(国立成育医療センターこころの診療部)
  • 齊藤 万比古(国立精神・神経センター国府台病院リハビリテーション部)
  • 庄司 順一(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所 )
  • 星加 明德(東京医科大学医学部小児科学教室)
  • 保科 清(医療法人財団順和会山王病院)
  • 穂積 登(医療法人慶竹会ホヅミクリニック)
  • 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 吉田 敬子(九州大学病院精神神経科児童精神医学研究室)
  • 加藤 明美(あいち小児保健医療総合センター看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもの心の診療に関するニーズと医療提供体制の実態を調査し、得られたエビデンスに基づいて、子どもの心の診療に関する望ましい医療システム、それを担う医師及び関連職種の教育・研修システム等の提案を行う。
研究方法
平成19年度には、これまでの研究成果(ニーズ調査、小児科・精神科診療体制、研修体制についての実態調査等)を基に、「子どもの心の診療医」養成のための短期・中期・長期の教育・研修体制について、カリキュラム・ガイドラインを提案、作成した研修テキストを利用して、モデル的研修を実施した。子どもの心の診療に携わるコメディカルの養成、及び小児病院における看護のあり方について検討、提言した。
結果と考察
各分担研究者は、平成17、18年度に行った研究に継続して、それぞれが担当する一般小児科医・一般精神科医から高度の専門性を有する医師まで、さまざまな専門性の深さを有する「子どもの心の診療医」の養成のための教育・研修カリキュラム・ガイドラインに関して多岐にわたる提案を行った。作成した研修テキスト(「一般小児科医に望まれる子どもの心の診療」、「一般精神科医が子どもの心を診療するときの参考テキスト」、「子どもの心の診療医専門研修テキスト」)を用いて、一般小児科医、一般精神科医、子どもの心の診療について専門性を有する小児科医・精神科医、それぞれを対象とするモデル的研修を行った。また、「子どもの心の診療専門医(仮称)」制度の構築に向けて、その基礎的検討を行った。
子どもの心の診療に携わるコメディカルに関しては、心理職、保育士、医療ソーシャルワーカー、作業療法士の役割と育成に関して提言がなされ、看護については、限られた施設における実践に基づくものであるが、専門的看護の課題が提起され、専門性をもった看護師の必要性が指摘された。
結論
実態調査の結果から、子どもの心の診療の必要性が明確化するとともに、それに対応する医療体制・研修体制の問題点も明らかになった。調査結果を踏まえて、異なる診療範囲と異なるレベルの専門性を有する「子どもの心の診療医」及びコメディカルスタッフ・看護師の養成と資質の向上に向けた教育・研修カリキュラムが提案され、モデル的研修が実施された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200719001B
報告書区分
総合
研究課題名
子どもの心の診療に携わる専門的人材の育成に関する研究
課題番号
H17-子ども-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 正義(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 定信(東京女子大学文理学部心理学科)
  • 奥山 眞紀子(国立成育医療センターこころの診療部)
  • 齊藤 万比古(国立精神・神経センター国府台病院リハビリテーション部)
  • 庄司 順一(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
  • 星加 明德(東京医科大学医学部小児科学教室)
  • 保科 清(医療法人財団順和会山王病院)
  • 穂積 登(医療法人慶竹会ホヅミクリニック)
  • 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 吉田 敬子(九州大学病院精神神経科児童精神医学研究室)
  • 加藤 明美(あいち小児保健医療総合センター看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもの心の診療に関する需要と医療提供体制の実態を調査し、得られたエビデンスに基づいて、子どもの心の診療に関する望ましい医療システム、それを担う医師及び関連職種の教育・研修システム等の提案を行う。
研究方法
平成17年度は、全国の保育園と小・中学校に対して経験した子どもの心の問題に関する調査を行い、一方、全国の小児科・精神科各種医療機関を対象に、子どもの心の診療の実態、教育・研修の実態等、医療提供側に関する多岐にわたる実態調査を行った。平成18年度には、高度専門施設での研修体制の調査を進めるとともに、医師の研修で利用しうるテキストの企画・編集を行った。平成19年度には、これまでの研究成果を基に、子どもの心の診療に携わる医師、コメディカル及び看護の人材育成に関する提案を行った。
結果と考察
子どもの心の診療に携わる医師については、厚生労働省「子どもの心の診療医の養成に関する検討会(座長柳澤正義)」では、その診療範囲や専門性の深さに関わりなく「子どもの心の診療医」と総称し、これには一般の小児科医・精神科医から専門的に子どもの心の診療に従事する医師まで含まれる。本研究では、実態調査の結果を踏まえて、「子どもの心の診療医」の養成のための短期・中期・長期の教育・研修体制のあり方、カリキュラム・ガイドラインの提案を行い、コメディカル及び看護のあり方についての提案を行った。また、作成した研修テキストを用いて、一般小児科医、一般精神科医、子どもの心の診療について専門性を有する小児科医・精神科医、それぞれを対象とするモデル的研修を実施した。さらに、必要性が指摘されている「子どもの心の診療専門医(仮称)」制度の構築に向けて、基礎的検討を行った。
結論
子どもの心の診療に関するニーズと医療提供体制の多面的実態調査の結果から、子どもの心の診療の必要性が明確化するとともに、それに対応する医療体制・研修体制の実態と問題点も明らかになった。調査結果を踏まえて、子どもの心の診療に携わる医師をはじめとする専門的人材の教育・研修カリキュラム・ガイドライン等の提案がなされ、テキスト類の作成とモデル的研修が実施された。異なるレベルの専門性を有する「子どもの心の診療医」及びコメディカル・スタッフや看護師の養成と資質向上に向けて充実した教育・研修が実施され、心の問題を有する子ども達に適切な医療がより広く、より専門的に提供されることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2008-08-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-12-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200719001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
子どもの心の問題の深刻化とともに、その診療に対する需要は増加している。需要と医療提供体制の実態を調査し、エビデンスに基づいた子どもの心の診療体制、それを担う医師及び関連職種の教育・研修体制を提案することを目的とした。実態調査の結果に基づいて、一般小児科医・精神科医から専門的に子どもの心の診療に従事する小児科医・精神科医まで、異なる専門性の深さを有する「子どもの心の診療医」、及び看護・コメディカルの教育・研修システムが提案され、テキストが作成され、またモデル的研修が実施された。
臨床的観点からの成果
子どもの心の診療のニーズに関して、全国の保育園と公立小・中学校を対象に、経験した心の問題と連携の実態について調査し、対応が必要となる精神的問題をもつ子どもの頻度は、保育園で4.57%、小学校で2.96%、中学校で4.08%であった。医療提供体制については、全国の大学病院、総合病院、専門病院、診療所等、各種医療機関の小児科・精神科を対象に、子どもの心の診療体制、教育・研修体制、看護・コメディカルの実態等、多面的調査を行い、実態を明らかにした。
ガイドライン等の開発
実態調査の結果に基づいて、異なる専門性の範囲と深さを有する「子どもの心の診療医」の育成について、短期・中期・長期の教育・研修システム・カリキュラムを提案し、一般小児科医、一般精神科医、さらにより専門的に子どもの心の診療に従事している医師、それぞれを対象とする研修テキストの企画・編集を行い、モデル的研修を実施した。また、コメディカル・スタッフの役割と研修のあり方に関して提言し、看護については、子どもの心の看護の課題を提起し、専門性をもった看護師の必要性を指摘した。
その他行政的観点からの成果
平成17・18年度厚生労働省「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」では、平成18年8月9日の第10回検討会で、本研究班の研究成果が詳細に報告されるなど、本研究で実施された調査の結果及び教育・研修システムの提案などは、検討会での議論の資料として提供され、施策に反映された。本研究班によって企画・編集されたテキスト類は、厚生労働省によって小児科医、精神科医に広く配布された。また、厚生労働省・日本小児科医会・母子愛育会の共催による「子どもの心の診療医研修会」が継続的に実施される予定である。
その他のインパクト
第102回日本精神神経学会、第110回日本小児科学会をはじめとする6つの全国規模の学会で、学会と本研究班の共催によるシンポジウムが行われた。また、モデル的研修として、「第1回・第2回子どもの心の診療専門研修会」、「第1回子どもの心の診療医研修会」が実施され、今後も継続される予定である。なお、平成19年度子ども家庭総合研究推進事業による公開シンポジウム「健やかな子育てを支える仕組づくりのために」において、本研究の成果が発表された。

発表件数

原著論文(和文)
123件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
97件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
その他成果(普及・啓発活動)
17件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
泉 真由子、奥山眞紀子
保育園・小中学校が抱えるこころの問題を持つ子どもの実態調査
日本小児科学会雑誌 , 112 (3) , 476-482  (2008)
原著論文2
泉 真由子、奥山眞紀子
保育園・小中学校と医療機関の連携に関する実態調査
日本小児科学会雑誌 , 112 (3) , 483-488  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-