文献情報
文献番号
199700331A
報告書区分
総括
研究課題名
看護職員の処遇に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 美恵子(高知女子大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 看護対策総合研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1 短大等卒者の給与面での処遇と実践現場での役割についての実態調査を行う。
2 平成8年度のパイロットスタディをもとに教諭を対象として給与面についての実態調査をし、看護職種との比較を行う。
3 看護実践の場において、能力別処遇実行体制の可能性に向けて情報収集を行う。
2 平成8年度のパイロットスタディをもとに教諭を対象として給与面についての実態調査をし、看護職種との比較を行う。
3 看護実践の場において、能力別処遇実行体制の可能性に向けて情報収集を行う。
研究方法
研究期間は、平成9年6月より平成10年3月20日までであった。
目的1は、短大等卒者の給与面、実践現場での役割期待についてアンケ-トを作成し、国公立病院施設の31か所に在職中の短大等卒者計4,050人を対象者の目処とした。研究対象施設の看護部長に研究目的を説明し、対象者が年齢や看護教育課程が均等に含まれるようアンケ-ト配布を依頼した。回収は無記名の返信用封筒で個別的に返送を依頼した。
目的2は、教諭を対象に給与面・人事面における処遇についてアンケ-トを作成し、3都道府県で就業している小中高等学校教諭135名を対象としてアンケ-トを郵送し、その方法は目的1に準じて行った。
アンケ-ト収集後、目的1,2ともに分析はSPSSを用いて統計処理を行い、その後看護職者と小中高等学校教諭との処遇に関する比較を行った。
目的3は、専門看護師11名を対象に、目的1に準じ実態調査を行った。また、能力別処遇に関する考え方について専門家を交えて検討した。
目的1は、短大等卒者の給与面、実践現場での役割期待についてアンケ-トを作成し、国公立病院施設の31か所に在職中の短大等卒者計4,050人を対象者の目処とした。研究対象施設の看護部長に研究目的を説明し、対象者が年齢や看護教育課程が均等に含まれるようアンケ-ト配布を依頼した。回収は無記名の返信用封筒で個別的に返送を依頼した。
目的2は、教諭を対象に給与面・人事面における処遇についてアンケ-トを作成し、3都道府県で就業している小中高等学校教諭135名を対象としてアンケ-トを郵送し、その方法は目的1に準じて行った。
アンケ-ト収集後、目的1,2ともに分析はSPSSを用いて統計処理を行い、その後看護職者と小中高等学校教諭との処遇に関する比較を行った。
目的3は、専門看護師11名を対象に、目的1に準じ実態調査を行った。また、能力別処遇に関する考え方について専門家を交えて検討した。
結果と考察
目的1の調査対象者は、アンケ-ト配布数は3,929で回収率は82.5%、そのうち有効回答数は3,230名(82.2%)であった。目的2の調査対象者は、アンケ-ト配布数が135名で有効回答数は106名(78.5%)であった。さらに目的3の調査対象者は、11名で有効回答10名(90.9%)であった。
1.対象者の特性
目的1の調査対象者は、男性55人(1.7%)、女性3,166人(98.0%)で、平均年齢は36歳でであった。看護の基礎教育課程は、看護専門学校卒(3年制)が1,658人(51.3%)、2年制が676人(20.1%)、短大卒(3年制)が655人(20.3%)、短大卒(2年制)128人(4.0%)、高等学校衛生看護専攻科卒97人(3%)であった。看護基礎教育後、保健婦(士)教育を受けた者は93人(2.9%)で、助産婦教育を受けた者は合計294人(9.1%)であった。平均経験年数は、14.2年であった。
目的2の調査対象者は、男性36名(34.0%)、女性70名(66.0%)で、平均年齢41.0歳であった。また平均教職歴は、18.38年であった。
目的3の調査対象者は、全員女性で、平均年齢38.3歳であり、平均経験年数は12.7年であった。
2.看護者の処遇に関する結論および今後の課題
1)卒直後の就業の者が短大卒者では93%は看護婦(士)に集中して就業、大卒者は91.6%で看護婦、保健婦、産業看護職などに拡大していた。
2)短大卒者の卒業直後(1年以内)の臨時・名簿登載者は20.4%、そのうち卒業後1年後も同一状態におかれている者は、26%であった。一方、大卒者は1年後も臨時・名簿登載者のままの者は21.5%であり、前者の割合が高い。
3)短大等卒者の処遇は医療職(三)そのものであるが、大卒者についても同じである。
4)短大等卒者では、給与は卒業年度・経験年数に応じて伸びており、高年齢に達した後の給与の低下は見られていない。
5)短大等卒者は、年齢階級別標準労働者の高専・短大卒者にほぼ相応する給与となっている。大卒者についても短大等卒者と同じような傾向が見られる。
6)短大卒者・大卒者ともに若年層については、一般の高専・短大卒者より給与は高いが、30歳以後は、一般の大卒者の給与は、短大卒者・大卒者に比べて大幅に上昇している。
7)短大等卒者、大卒者の若年層については、全国病院労務管理学会調査よりも給与は低くなっている。年齢が56歳以上では、全国病院労務管理学会調査では給与が低下してくるが、短大等卒者でそれは見られない。
8)大卒者の大卒であるという条件と給与との関連性は見出せない。
9)経験7年までは看護職者と教諭間の給与の差はほとんど認められないが、それ以降になると教諭の給与が上回る傾向が見られた。
10)短大等卒者の現在割り当てられている課題や役割の上位5位は、「看護実習生に関する指導」「看護研究に関するメンバ-」「看護手順・基準の作成に関する役割」「新採用者に関する教育係」「施設内教育に関するメンバ-」であり、大卒者とほぼ同じ傾向であった。
11)短大等卒者が課題や役割を担うようになった経緯の第1位は「上司から命令された」であり、大卒者とほぼ同じ傾向を示していた。
12)短大等卒者は、看護職の処遇に関する自由意見として「労働条件に関して」の内容を第1位に挙げていた。
13)専門看護師取得後の処遇については、全く変化が認められない。したがって、専門看護師としての処遇を確立することが望まれる。
14)国内における他職種、特に薬剤師等大卒者の初任給と上昇パターンを大卒看護職と比較する。
15)看護職について、先進諸外国の学歴別初任給とその上昇パターン、および能力別給与体系の実態を情報収集し、わが国との比較を行い、適用可能性を検討する。
16)企業における能力給の設定の考え方と方法等を明らかにし、看護職の問題点を明確化し、さらに看護職への適用可能性を検討する。
1.対象者の特性
目的1の調査対象者は、男性55人(1.7%)、女性3,166人(98.0%)で、平均年齢は36歳でであった。看護の基礎教育課程は、看護専門学校卒(3年制)が1,658人(51.3%)、2年制が676人(20.1%)、短大卒(3年制)が655人(20.3%)、短大卒(2年制)128人(4.0%)、高等学校衛生看護専攻科卒97人(3%)であった。看護基礎教育後、保健婦(士)教育を受けた者は93人(2.9%)で、助産婦教育を受けた者は合計294人(9.1%)であった。平均経験年数は、14.2年であった。
目的2の調査対象者は、男性36名(34.0%)、女性70名(66.0%)で、平均年齢41.0歳であった。また平均教職歴は、18.38年であった。
目的3の調査対象者は、全員女性で、平均年齢38.3歳であり、平均経験年数は12.7年であった。
2.看護者の処遇に関する結論および今後の課題
1)卒直後の就業の者が短大卒者では93%は看護婦(士)に集中して就業、大卒者は91.6%で看護婦、保健婦、産業看護職などに拡大していた。
2)短大卒者の卒業直後(1年以内)の臨時・名簿登載者は20.4%、そのうち卒業後1年後も同一状態におかれている者は、26%であった。一方、大卒者は1年後も臨時・名簿登載者のままの者は21.5%であり、前者の割合が高い。
3)短大等卒者の処遇は医療職(三)そのものであるが、大卒者についても同じである。
4)短大等卒者では、給与は卒業年度・経験年数に応じて伸びており、高年齢に達した後の給与の低下は見られていない。
5)短大等卒者は、年齢階級別標準労働者の高専・短大卒者にほぼ相応する給与となっている。大卒者についても短大等卒者と同じような傾向が見られる。
6)短大卒者・大卒者ともに若年層については、一般の高専・短大卒者より給与は高いが、30歳以後は、一般の大卒者の給与は、短大卒者・大卒者に比べて大幅に上昇している。
7)短大等卒者、大卒者の若年層については、全国病院労務管理学会調査よりも給与は低くなっている。年齢が56歳以上では、全国病院労務管理学会調査では給与が低下してくるが、短大等卒者でそれは見られない。
8)大卒者の大卒であるという条件と給与との関連性は見出せない。
9)経験7年までは看護職者と教諭間の給与の差はほとんど認められないが、それ以降になると教諭の給与が上回る傾向が見られた。
10)短大等卒者の現在割り当てられている課題や役割の上位5位は、「看護実習生に関する指導」「看護研究に関するメンバ-」「看護手順・基準の作成に関する役割」「新採用者に関する教育係」「施設内教育に関するメンバ-」であり、大卒者とほぼ同じ傾向であった。
11)短大等卒者が課題や役割を担うようになった経緯の第1位は「上司から命令された」であり、大卒者とほぼ同じ傾向を示していた。
12)短大等卒者は、看護職の処遇に関する自由意見として「労働条件に関して」の内容を第1位に挙げていた。
13)専門看護師取得後の処遇については、全く変化が認められない。したがって、専門看護師としての処遇を確立することが望まれる。
14)国内における他職種、特に薬剤師等大卒者の初任給と上昇パターンを大卒看護職と比較する。
15)看護職について、先進諸外国の学歴別初任給とその上昇パターン、および能力別給与体系の実態を情報収集し、わが国との比較を行い、適用可能性を検討する。
16)企業における能力給の設定の考え方と方法等を明らかにし、看護職の問題点を明確化し、さらに看護職への適用可能性を検討する。
結論
公開日・更新日
公開日
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更新日
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