変形性関節症の病態把握と治療効果判定を可能にする定量的機能診断システムの開発

文献情報

文献番号
200718083A
報告書区分
総括
研究課題名
変形性関節症の病態把握と治療効果判定を可能にする定量的機能診断システムの開発
課題番号
H19-長寿-一般-032
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 正人(東海大学医学部外科学系整形外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 美弥(防衛医科大学校医用工学)
  • 三谷 玄弥(東海大学医学部外科学系整形外科学)
  • 沓名 寿治(東海大学医学部外科学系整形外科学)
  • 李 禎翼(財団法人長寿科学振興財団)
  • 石原 雅之(防衛医学研究センター医療工学研究部門)
  • 菊地 眞(防衛医科大学校医用工学)
  • 持田 讓治(東海大学医学部外科学系整形外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は世界で初めて光音響原理に基づく粘弾性計測法の原理を提案し検証実験を行い、光音響信号を効率的に励起できるナノ秒パルスレーザーの使用により、薬剤等の修飾なく測定可能な自家蛍光波長と時間を関数とした分析が可能となり、力学特性と組織性状とを同時に定量的に計測する技術を開発した。そして、組織工学的に作製した再生軟骨の移植前のin vitro評価法として確立し、現在その評価技術の標準化を目指している。しかし、実際の臨床での関節軟骨診断は関節鏡視下環境である方が望ましい。本研究の目的は、本評価技術を関節鏡視下で実施可能なレベルまでスケールダウンすること、すなわち、励起用レーザー光の導光系と光音響信号と自家蛍光の検出センサーを一体化し、関節内計測用プローブを開発し、さらに、測定プロトコ-ルの最適化によりハイスループットな計測を実現することである。
研究方法
光音響法と時間分解スペクトル分析法に必要不可欠な各要素技術を臨床使用可能なレベルに押し上げること、及びその結果得られた測定システムの診断法としての有用性を確認することが必要である。平成19年度は3年計画の初年度であり、実用的なレーザーの選択と導光系の検討、並びに軟骨の特性が測定可能な光音響センサーの開発を計画した。具体的な研究計画としては、現在下記3課題に関して、分担研究者と実施している。
1.ナノ秒パルスレーザー励起自家蛍光時間分解スペクトル分析によるscaffold free組織工学的軟骨の非侵襲的組織性状評価に関する研究
2.光音響原理に基づく力学特性計測法を用いた関節軟骨変性診断システムの開発に関する研究3.蛍光相関分光法による関節軟骨中の拡散現象に関する研究
結果と考察
システムを構成する要素技術の成熟を図ったところ、システムの小型化・可搬化を可能にするナノ秒パルスレーザーとしてQスイッチNd:YAGレーザーの第3高調波を測定信号の励起源として使用することが適切と考えられた。センサーと導光用光ファイバー一体型のプローブを試作し、軟骨下骨の影響を受けずに軟骨の測定が可能になった。ブタ骨軟骨プラグを対象として正常部と変性部の区別が可能であった。蛍光相関分光法により関節軟骨中の拡散現象を捉えることが可能であった。
結論
非侵襲的なナノ秒パルスレーザー誘起の光音響法で軟骨の力学特性を、時間分解自家蛍光スペクトルで性状分析を評価可能であった。光と生体との相互作用を利用した本計測システムは、種々のパラメータに基づき、多角的かつ定量的に軟骨本来の機能評価が可能である。

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
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