認知症予防のための心理社会面に着目した包括的支援に関する研究

文献情報

文献番号
200718078A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症予防のための心理社会面に着目した包括的支援に関する研究
課題番号
H19-長寿-一般-027
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
竹田 徳則(星城大学リハビリテーション学部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 克則(日本福祉f大学社会福祉学部)
  • 平井 寛(日本福祉大学COE推進室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,488,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国では,急速な高齢化に伴い認知症高齢者は増加している.そのため2006年度の介護保険見直しでは,認知症の予防が重点分野の一つとして明示された.しかし,認知症予防のためのプログラム理論は確立されておらず,具体的な方法論の開発が求められている.
そこで本研究の目的は,近年認知症発症との関連が示唆されている介入可能な心理社会的側面に着目し,ポピュレーション・アプローチによる認知症予防のための介入を試み,その手がかりを得ることである.
研究方法
 研究方法は,以下の3点である.(1)愛知県武豊町において地域在住高齢者を対象にポピュレーション・アプローチを志向した認知症予防のモデル事業として「憩いのサロン」を開所する.(2)今後の介護予防介入効果の検証に向けたベースラインとなるデータを収集する.(3)これまでに蓄積したデータである2003年をベースラインとし,2006年度までの3年間を追跡し認知症発症の危険因子を明らかにする.
本研究は,星城大学研究倫理委員会の承認を受け,愛知県武豊町とで締結した介護予防モデル事業に関する研究協定を遵守したものである.
結果と考察
 その結果,(1)「憩いのサロン」を3ヶ所で開所し,1回あたりの参加者とボランティアの参加総数の平均は55名程度で推移している.(2)参加者とボランティア両群には,健康行動指標(健診受診・非喫煙など)や心理的指標(主観的健康感よい・うつなしなど)ともに良好な者が多かった.一方,社会的機能としてのサポートでは,ボランティアにおいては,サポートの受領と提供双方があると回答した者が,参加者の割合よりも高かった.(3)認知症発症の危険因子として,男女に共通して主観的健康感「よくない」,物忘れの自覚「あり」,趣味「なし」などのハザード比が高かった.趣味内容別では,同様にスポーツ的活動「なし」,園芸的活動「なし」,観光的活動「なし」などのハザード比が大きかった.
結論
 平成19年度においては,愛知県武豊町ならびにボランティアである地域住民と協力しながら「憩いのサロン」を3ヶ所で開所した.認知症予防では,心理社会面に着目した介入が重要な可能性が示された.

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
-