入院医療と在宅ケアのあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
200718070A
報告書区分
総括
研究課題名
入院医療と在宅ケアのあり方に関する調査研究
課題番号
H19-長寿-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
加知 輝彦(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鷲見 幸彦(国立長寿医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今後、我が加速度的に超高齢社会に突入することが確実に予想される。従って、現在の外来・入院という枠組みの医療体制を早急に変革しなければならない。本研究は現在ある入院・在宅医療の問題点を調査し、今後のあるべき在宅医療の構築に資することを目的とする。
研究方法
これまでに行われてきた在宅医療、終末期医療における現状を調査し、問題点を抽出した。また、在宅療養支援診療所を対象にアンケート調査を行い、現場での問題点について検討した。
結果と考察
厚労省大臣官房統計情報部の人口動態統計によれば、日本国民の死亡場所は、1955年に15.4%であった医療機関が、1980年には57%に、2005年には82.4%なった。逆に在宅で死亡する割合は1955年の76.9%から1980年の39.3%、更に2005年には12.2%と減少していた。
 また、厚労省「終末期医療に関する調査等検討会」報告書(2004)によれば、一般国民の59%が最期まで自宅で療養することを希望している一方で、同じく一般国民の66%は①介護してくれる家族の負担、②症状急変時の対応に対する不安といった理由により、実現困難であるとし、この傾向は医師、看護職、介護職等にもみられ、これらの制約を解消することも在宅医療、特に終末期の在宅医療を推進する上で重要である。
在宅療養支援診療所の中で年間20例以上看取りを行っているところでは他職種との連携、病院からの退院時カンファランスへの参加、教育等に積極的にかかわっているといった特徴を有した。
在宅で死亡する人の割合は10%台にまで減少し、この減少傾向は今も続いている。この背景として、患者・家族側にも医療者側にも家族の介護負担や病状が急変した時の対応に不安があることなどがある。
一方、年間20例以上の看取りを行っている在宅療養支援診療所では医師と看護師、薬剤師等他職種との連携がうまく行われている場合が多い。また、病状急変時等に当たっての病院との連携も欠かせない。そのためには、病院、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション等のネットワーク化も必要である。
そういった体制を整えた上で、住民全体の在宅医療に対する意識改革も必要で、看取りまで行う在宅医療をより普及させるには、その体制の構築が必要であると考えられる。
結論
在宅医療推進のためには地域全体での、特に終末期医療に対する意識改革と、その裏付けとなる病院、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション等のネットワーク化が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
-