介護保険施設におけるマネジメント理論の展開に関する実証的研究

文献情報

文献番号
200718069A
報告書区分
総括
研究課題名
介護保険施設におけるマネジメント理論の展開に関する実証的研究
課題番号
H19-長寿-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小山 秀夫(静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、介護老人保健施設に必要なマネジメント理論のなかでも、特に戦略的マネジメントとヒューマンマネジメントについて、その状況等を明らかにし、もって介護老人保健施設、介護療養型医療施設等のマネジメントシステムを確立することを全体的構想とするものであるが、本年度は、諸外国並びにわが国における近年の高齢者ケア政策等の実態を把握すること、さらにこれらを踏まえ、コンプライアンス経営の有無や介護保険施設の社会的責任等の概念導入について検討を行うことを目的とした。
研究方法
本研究では、まず諸外国並びにわが国における近年の高齢者ケア政策等、なかでも諸外国の高齢者介護施設におけるコンプライアンス経営に関する方策の実態把握のために、先行研究や各種政府統計資料等など既存の文献による調査を行った。さらにこうした知見をより具体的かつ明確なものとするために、社団法人全国老人保健施設協会会員施設3,290施設を対象とした介護老人保健施設における経営と管理者の業務実態に関するアンケート調査を実施し、実証的データの構築を試みた。
結果と考察
文献等の調査から、オーストラリア及びイギリスなどにおいては、近年、介護事業者のコンプライアンス体制確保に向けた大きな改正が行われている現状にある。具体的には①
評価基準に法令遵守の視点が強く盛り込まれている点。②事業者の質改善プロセスを透明化する自己評価を義務づけるとともに、利用者の意見や苦情等を監査や認証プロセスに組み入れている点。③コンプライアンス違反に対する制裁措置が明らかに強化されつつある点、である。さらにアンケート調査からは老健施設のコンプライアンス体制は、調査結果の通り3分の2は何らかの対応をしており、特にその半分、全体の3分の1程度はコンプライアンス体制の構築に努力していることが判明したが、その半面で約3分の1はコンプライアンス体制が未構築と考えられるのである。
結論
諸外国においては、明らかにコンプライアンス強化の方向性が伺え、さらにそうした方向性で施策方策が展開されつつある。その一方で、国内においては、今回の調査から明らかなように介護保険施設・事業所の中では比較的法令遵守意欲が高いと考えられている老人保健施設でもコンプライアンス経営の取り組み状況は低調といわざるを得ない。

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
-