社会経済的格差と高齢者の健康、生活習慣、医療介護資源利用に関する検討

文献情報

文献番号
200718068A
報告書区分
総括
研究課題名
社会経済的格差と高齢者の健康、生活習慣、医療介護資源利用に関する検討
課題番号
H19-長寿-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 克則(日本福祉大学社会福祉学部)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科)
  • 野口 晴子(国立社会保障・人口問題研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,480,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業では、高齢者とその世帯を囲む社会経済的要素(世帯構成、所得・資産など)と、就労・社会参加の状況、そしてその健康状態・心身機能や生活習慣(喫煙・飲酒・運動・栄養摂取)を複合的に測定し、それらと公的医療・介護サービス利用との関係を検討する。3年計画で縦断的に実施することにより、社会経済要因、健康・生活習慣の個別状況を踏まえて、医療・介護サービスが高齢者の生命・機能予後に与える影響を検討する。
研究方法
平成18年度より実施されている先行研究(「暮らしと健康」調査)のサンプルフレームを利用し、心・身・認知機能、生活習慣の測定、栄養調査を実施した。この結果を、先行研究で測定されている世帯所得・資産・家族構成などの社会経済的データと突合した。
結果と考察
1)データ状況;先行研究で4,159名(回収率60%)が得られていた。これに追加調査として栄養調査については3,883人、握力測定については3,941名、留め置き調査票は3,889名から回収できた。
2)健康・機能状態と社会経済要因
身体機能は、50代男性では就労(失業)や婚姻との関係が見られ、70代では主に学歴との関係が見られ、60代はその両方の性質が見られた。女性では身体的機能と学歴の関係は薄く、おもに資産保有額との関係が認められた。CES-Dと婚姻状況との間には男女ともに関係が認められたが、女性の場合は、年齢層・就労の有無によってその関係は異なった。
3)生活習慣と社会経済因子
50代の男女では学歴が高いほど喫煙割合は低下したが、60代女性では逆の関係だった。女性では離婚者・失業者で喫煙割合が有意に高かった。アルコール摂取量や脂肪カロリー比を見ると、男女とも高学歴の層で脂肪カロリー比が高く、外食費も学歴が高いほど有意に高いことが確認された。野菜・果物の摂取量は、男女とも流動資産保有額が高い層で摂取量が多かった。
4)医療介護給付明細情報3
3市町村から承諾者分の国民健康保険データについて抽出・提供を受けた。残る2市町村について作業進行中。
結論
高齢者世帯における社会経済的要因・健康関連要因と、医療・介護資源利用との関連を解き明かすための複合的データセットの構築に成功した。次年度は、これを踏まえ世帯での介護・ケアの提供や、保険制度下での医療・介護消費行動を分析していく。

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
-