療養病床、老人保健施設における急性期医療の引継ぎ構造とスタッフ・デベロップメントに関する研究

文献情報

文献番号
200718067A
報告書区分
総括
研究課題名
療養病床、老人保健施設における急性期医療の引継ぎ構造とスタッフ・デベロップメントに関する研究
課題番号
H19-長寿-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 龍太郎(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 鳥羽研二(杏林大学医学部高齢医学教室)
  • 遠藤英俊(国立長寿医療センター)
  • 葛谷雅文(名古屋大学医学部老年科学講座)
  • 杉原陽子(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性疾患による長期療養中の高齢者ケアに大きな役割を果たしている療養病床の施設運営と勤務医師、高齢利用者の現状を調査・分析し現在の課題を明らかにするため、施設長と勤務医師の取り組み姿勢、運営・勤務状況、利用者の状態像に焦点を当てて、スタッフ・デベロップメントの現状と医療ニーズの特徴を探ることとした。
研究方法
2008年1月から2月にかけて日本療養病床協会加盟の727ヶ所の療養病床設置病院(施設)に調査票を送付し、回収した。対象は、各病院の施設長、各病院勤務の常勤医師、各病院の利用者である。回収率はそれぞれ23.0%、19.8%、16.1%であった。
結果と考察
施設長や常勤医師の専門診療科で老年科・老人科との回答は2%であった。常勤医師の勤務理由で高齢者医療の実践と回答した割合は26%にとどまった。在院日数の長い施設は総退院率、自宅退院率などが低値であったが、死亡退院率はかわらず死亡退院の施設間変動指標は低値であり、施設間の違いを超えて死亡退院は一定の頻度で発生することが示唆された。住宅散在地域に立地した施設においては、施設運営で「在宅復帰を進める」ことを重視する割合が低かった。介護療養病床利用者との比較において、医療療養病床の利用者では、男性の比較的若い高齢者で「医療区分」2、3が多く、医療処置の内容別では喀痰の吸引、酸素療法、中心静脈栄養が多かったが経管栄養は介護療養病床利用者に多くみられた。死亡率との関連がある併存疾患尺度「Charlson Index」は、介護療養病床の利用者と医療療養病床の利用者とでほぼ同じ水準であり、また、「医療区分」との関連も認められなかった。
結論
療養病床の運営には、地域圏の特性を生かす施設役割の明確化、専門性をもつ人材育成の強化、慢性疾患療養高齢者ケアにおける医療ニーズの明確化と焦点化が必要であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
-