唾液を指標とした口腔機能向上プログラム作成

文献情報

文献番号
200718060A
報告書区分
総括
研究課題名
唾液を指標とした口腔機能向上プログラム作成
課題番号
H19-長寿-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
柿木 保明(公立大学法人九州歯科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 西原 達次(公立大学法人九州歯科大学)
  • 小関 健由(東北大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでの研究成果より、高齢者における唾液の口腔内分布や物性、関連因子は、高齢者の口腔ケア度や口腔機能、摂食嚥下機能の状況と大きく関わることが認められたことから、唾液を指標として口腔機能をより客観的に数値化することで、効果的な口腔ケアやリハビリの方法、回数、頻度、介助度などを選択できる口腔機能向上プログラムの作成が出来ることを目的として3年計画の1年目として実施した。 
研究方法
唾液指標と摂食機能の関連に関する研究では12課題について研究を進め、介護保険関連施設における実態調査のほか、口腔機能と臨床診断基準および湿潤度検査結果との関連性について研究を進めた。また、口腔乾燥患者の症状や治療に関する調査、安静時唾液や日和見感染菌の検出に関する研究、ピエゾセンサーにより嚥下解析、要介護者の摂食嚥下の実態調査を行った。口腔細菌学的な口腔環境に関する研究では、生理活性物質の簡便な測定法と口腔内細菌の血栓形成能について基礎的研究を進めた。唾液と口腔状態に関する研究では、安静時唾液との生化学的解析と物性の研究および嚥下評価方法として口腔内圧測定器の開発研究を進めた。
結果と考察
唾液指標と摂食機能の関連では、客観的口腔機能の評価方法では数値として表現できる評価方法が必要と思われた。臨床診断基準や唾液の湿潤度は、客観的で口腔機能との関連もあることから口腔機能プログラム作成において有用と思われた。唾液の質的評価も重要な指標で、口腔ケアの時期や方法などの判断に役立つことが示された。ピエゾフィルムを用いた嚥下回数の簡易評価は、唾液の分泌量だけでなく嚥下機能との関連から今後、さらに開発を進める必要があると思われた。口腔乾燥患者でみられる剥離上皮膜やプラークおよび舌苔は、口腔機能と大きく関連していることが示唆された。口腔環境に関する研究では、口腔内生理活性物質の簡便な測定機器および口腔内細菌の血栓形成能の測定機器は臨床への応用が可能であることが強く示唆された。唾液と口腔状態の関連では、安静時唾液は曳糸性と粘度も調整している可能性が示唆され、安静時唾液の嚥下機能を評価する口腔内圧測定法からは、正しい嚥下をスクリーニングできる可能性が示された。
結論
次年度は、これらの研究成果を基に、唾液評価法とリハビリテーションへの応用方法について提案し、臨床現場における口腔機能向上プログラムの機能評価とプランニングへの応用研究を進める。く。

公開日・更新日

公開日
2008-11-14
更新日
-