高齢者の切迫性尿失禁に対する膀胱壁内A型ボツリヌストキシン注入療法の多施設臨床試験と腹圧性尿失禁に対する新規治療法の開発

文献情報

文献番号
200718052A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の切迫性尿失禁に対する膀胱壁内A型ボツリヌストキシン注入療法の多施設臨床試験と腹圧性尿失禁に対する新規治療法の開発
課題番号
H19-長寿-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡村 菊夫(国立長寿医療センター 手術・集中医療部)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤百万(名古屋大学大学院医学系研究科 病態外科学講座 泌尿器科学)
  • 橋本有弘(国立長寿医療センター研究所 再生再建医学研究部)
  • 山本徳則(名古屋大学医学部附属病院 泌尿器科)
  • 上住 円(国立長寿医療センター研究所 再生再建医学研究部・細胞再生研究室)
  • 宋 時栄(徳島文理大学香川校 神経科学研究所)
  • 丸山彰一(名古屋大学医学部附属病院 腎臓内科)
  • 松尾清一(名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座 腎臓内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者の切迫性、腹圧性尿失禁に対する新規治療法を開発する。切迫性尿失禁に対しては1) A型ボツリヌストキシン膀胱壁内注入療法の有効性を示すための臨床試験を企画し、腹圧性尿失禁に関しては2) 前立腺全摘除術後の尿失禁に対する骨格筋幹細胞を用いた再生医療、3) 女性腹圧性尿失禁に対する脂肪組織由来幹細胞を用いた再生医療の開発を目指した。
研究方法
1)岡村が多施設共同研究の組織・プロトコールづくりを行った。2)岡村が前立腺全摘除術を行う症例から実験材料を得、橋本が自己骨格筋幹細胞の培養、内在性筋細胞の増殖・肥大による治療法開発・スクリーニング系の確立に取り組み、池本はセルソーターを用いた移植細胞の品質管理システムの確立、宋は移植細胞の安全性検定系の確立に取り組んだ。3)山本は脂肪組織由来幹細胞を用いた再生治療の有効性を確認するための動物モデルの開発と移植方法の確立に取り組み、後藤はラット膀胱・膀胱頸部への細胞/薬剤注入技術を確立させ、丸山はラット膀胱頸部に脂肪組織由来間葉系細胞移植実験を行い、松尾は安全性の評価を行った。
結果と考察
1)では非神経因性過活動膀胱と脊髄損傷患者の排尿筋過活動に対する2つのプロトコールを作成、国立長寿医療センター倫理委員会の承認を得た。2)では遺伝子組換え酵素を用いた低密度培養により効率的な筋細胞培養を可能とし、セルソーターにより効率よい幹細胞選別回収法を確立した。マウスでの移植実験では移植細胞の安全性検定系を確立した。3)では、移植細胞の生着を促すためのラット膀胱凍結処置方法を確立し、27Gの針を用いたラット膀胱・膀胱頸部に細胞注入方法の確立した。脂肪組織由来幹細胞のラット膀胱移植実験に置ける細胞生着を確認し、治療効果確認のためのラットモデルを作成して移植治療によるleak point pressure上昇(漏れにくくなった)を確認した。
結論
1)では現在プロトコールを一部変更中、研究参加施設での倫理委員会で承認を受けた後、実際の臨床試験に入っていく予定である。3つの研究はほぼ予定通り進行しているが、来年度は、2)では、より低い血清培地での培養を可能とし、培養筋幹細胞の中から安全でより高い増殖・分化能をもった細胞集団だけを選別すること、3)では今年度開発したラット移植実験系を用いて、より長期に尿道閉鎖圧を維持できる再生医療の開発を目指す。

公開日・更新日

公開日
2008-08-08
更新日
-