高齢者の転倒予防に関する研究

文献情報

文献番号
200718040A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の転倒予防に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-032
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
田村 俊世(国立大学法人千葉大学 大学院工学研究科人工システム科学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 茂樹(国立大学法人千葉大学 大学院工学研究科建築都市科学専攻 )
  • 吉村 拓巳(東京都立産業技術高等専門学校)
  • 関根 正樹(国立大学法人千葉大学 大学院工学研究科人工システム科学専攻 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
転倒は、環境因子が重大な影響を与えるが、加齢にともなう身体バランス機能の低下が大きい要素を占めることが云われている。そこで静的・動的身体バランスを簡便に測定できる機器、骨折予防のための転倒衝撃吸収システムの開発、転倒リスクのない住宅環境の改善の提言、さらに看護師、作業療法士を中心とした転倒のリスクアセスメントの作成、そして転倒後症候群の心理面のケアと精神的安定を与えるためのプログラムの作成を計画している。これらの機器開発ならびに精神面からのケアを行うことによって、高齢者の尊厳を保ち、転倒予防、行動の拡大が現実のものになることが期待できる。
研究方法
高齢者の転倒時骨折、特に「寝たきり」につながる危険性の極めて高い「大腿骨頸部骨折」の予防を目的とした衝撃吸収システムのプロトタイプを作製した。身体平衡機能の評価システムは体性感覚刺激として足裏による身体各部の運動動作から平衡機能を解析する。本年度は、刺激部位の違いによるバランス機能の変化を実験的に解析する。住宅改修:家庭における転倒事例の収集から、転倒をなくする効果ある改修のあり方、特に転倒を防ぐ空間がいかにあるべきを研究した。アセスメントとして転倒予防教室からの経験より、より定量的評価が可能な転倒予防アセスメントを作成した。また、訓練機器として足裏刺激装置の振動強度を変化させたときの治療成績との比較を行った.
結果と考察
動的身体バランスの計測装置として水平外乱刺激発生装置を開発し,これを用いて外乱刺激時の角速度pitch方向の身体動揺から3つの姿勢制御戦略の特徴を確認できた.足裏刺激装置については歩容の改善に効果があることが示された.転倒衝撃吸収システムの転倒検出アルゴリズムの誤動作防止の検討を行うため,加速度と角速度を同時計測することで身体の動きを詳細に把握可能であることが明らかとなった.転倒・転落を防止するために施設の改善を回想法の理念をもとに行った.「懐かしい事物」のインストールや,「回想ストリート」の制作,は多くの認知症の方に有効であった.最後に加速度測定を用いた動作評価は転倒のリスクを定量的に評価することが可能であることが示され,転倒リスクアセスメントに有用な情報を提供できることが示唆された.
結論
水平外乱刺激発生装置,足裏刺激装置を開発し姿勢調整に影響を与える因子の検討を行さらに,転倒検出アルゴリズムの誤動作防止を検討した施設の改善を回想法をもとに行った.最後に、加速度測定を用いた動作評価は転倒のリスクを定量的に評価することが可能であることが示唆された.

公開日・更新日

公開日
2008-07-30
更新日
-