認知症における標準的なケアモデルの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200718038A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症における標準的なケアモデルの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-030
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 伸司(認知症介護研究・研修仙台センター)
研究分担者(所属機関)
  • 内藤佳津雄(日本大学文理学部)
  • 内出幸美(社会福祉法人典人会)
  • 阿部哲也(認知症介護研究・研修仙台センター)
  • 矢吹知之(認知症介護研究・研修仙台センター)
  • 吉川悠貴(認知症介護研究・研修仙台センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、認知症高齢者の生活行為(入浴、食事、排泄、移動、着替え、整容等)障害に対する認知症介護専門家のアセスメント視点を整理し、ケア評価ツール作成のための基礎資料とすることを目的としている。
研究方法
<認知症高齢者の生活障害分類に関する研究>は全国の特別養護老人ホーム6,009か所と認知症対応型共同生活介護事業所9,488か所を対象に高齢者の認知機能、ADL、食事・排泄・入浴・着替え時の障害状況に関する郵送悉皆調査を実施した。<認知症介護専門家のアセスメント視点に関する研究」は全国の認知症介護指導者養成研修修了者996名を対象に、入浴、食事、排泄、着替え、整容、認知症に伴う行動・心理症状(以下BPSD)に関する障害30事例について、ケアに必要な視点に関する郵送調査を実施した。<認知症ケアアセスメントに関するヒアリング調査>は介護職員14名のケア行為をビデオ撮影し、ケアの意図(着目点、根拠)や関わり方に関する半構造化面接を実施した。
結果と考察
<認知症高齢者の生活障害分類に関する調査>は18,236名分(有効回答29.4%)を解析対象とし、摂食障害は食事の認知障害、食事動作障害、食欲過剰、食欲のなさ、排泄障害は排尿の認知障害、おむつ使用困難、排尿感がなく漏らす、ポータブルトイレ使用困難、排尿介助への嫌悪、カテーテル使用困難、入浴障害は、動作困難、入浴拒絶、清拭のみ、着替え行為の障害は動作困難、着替え行為の認知障害、着替え拒絶に分類された。<認知症介護専門家のアセスメント視点に関する研究>は入浴、食事、排泄、着替え、整容、BPSDにおける障害へのアセスメント視点として原因疾患、認知機能の程度、物理的な環境、障害行為状況、平常時の行為パターン、疾病・健康状態・排泄状況、他者との関係性、生活歴、職員の対応、ADL・身体機能の重要性が示唆された。<認知症ケアアセスメントに関するヒアリング調査>は、身体状況や安全性に配慮した関わり、馴染みの関係づくり等の関係性を重視した関わり、可能性、創造性、自尊心を大切にした関わりの有効性が明らかとなった。
結論
本研究より、認知症ケアの評価対象場面が分類抽出され、評価対象場面ごとのアセスメント視点として高齢者本人の外見的な情報や属性情報だけでなく、周囲の雰囲気や刺激などの環境情報や、職員、家族、高齢者など他者との関係性、生活史、心理などのアセスメント項目を評価する必要性が示唆された。今後は、分類された障害場面に応じたアセスメントチェック項目を基に、不適切ケアと望ましいケアを抽出分類した後、簡易的に介護現場で参照、チェック可能な評価ツールを作成する予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-11-14
更新日
-