認知機能に着目した新たな介護予防プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200718024A
報告書区分
総括
研究課題名
認知機能に着目した新たな介護予防プログラムの開発に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
田高 悦子(公立大学法人横浜市立大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 金川 克子(石川県立看護大学看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、自立高齢者の要介護状態への移行及び軽度要介護者の悪化の低減に向けて、高齢者の認知機能に着目した新たな介護予防技術(プログラム)の開発と評価を行うことである。3ヵ年計画の2年目にあたる今年度は、都市的地域ならびに農村的地域においておのおのの地域特性に応じたプログラム開発と評価を行うことを目的とした。
研究方法
都市的地域では、認知機能低下のない自立した高齢者における介護予防ポピュレーションアプローチプログラム(米国アルツハイマー病協会が提唱する「認知症予防に向けた健康づくりの10カ条」に基づく保健予防行動のための知識、技術、動機付けの普及啓発)を開発し、また、農村的地域では、初年度のハイリスクアプローチプログラム(認知症予防に向けたグループアクティビティ)を継続的に展開し、おのおのの地域高齢者における有効性と課題を検討した。
結果と考察
都市的地域の介護予防ポピュレーションアプローチでは、その対象となる地域高齢者において、FAB低下群に示されるローリスクグループが30%存在し、FAB標準群に比して、啓発への曝露に乏しく、また、生活習慣や地域との交流に脆弱であることが示唆された。よって効果的で効率的なポピュレーションアプローチに向けては、地域特性も加味し、よりニーズの高い対象グループの把握方法の検討や対象グループに応じた啓発、支援方法のあり方を検討する必要があることが示唆された。一方、農村的地域の介護予防ハイリスクアプローチでは、集団および個別の関わりの継続において、その対象者の認知機能や生活機能の維持が可能となることが示唆された。さらに、プログラムの継続には、参加者の負担にならない自主的な展開や、動機付け、事業における自己の役割や居場所、プログラムそのものが生活習慣となるための家族の働きかけも得られることなどの要件が必要であることが示唆された。
結論
地域特性ならびに高齢者の特性に応じた介護予防ポピュレーションアプローチ(認知症予防にむけた健康づくりキャンペーン)ならびにハイリスクアプローチ(認知症予防に向けたグループアクティビティ)はおのおのの高齢者の認知機能や対人交流の維持・向上に有効である。また、地域づくりの観点からは、これらの両輪的展開が重要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-07-24
更新日
-