文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200718022A
報告書区分
総括
研究課題名
文字利用が困難な高齢中途視覚障害者のための理療教育課程における学習支援システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 和之(国立身体障害者リハビリテーションセンター更生訓練所)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 和幸(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 清田 公保(鳥羽商船高等専門学校 制御情報工学科)
  • 江崎 修央(鳥羽商船高等専門学校 制御情報工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格取得を目指す理療教育課程での学習において、点字や普通文字、パソコンでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層中途視覚障害者の学習支援システムの構築を目的とする。
研究方法
① 2001年度-2007年度国立身体障害者リハビリテーションセンター理療教育課程1年次在籍者251名を対象として属性と学習手段に関する実態調査を行い、支援課題の明確化とニーズの抽出を図る。
② 複数の文字入力システムの開発と、学習時の実践的な技術評価を行い、中途視覚障害者の学習方略獲得を支援するシステム普及のための指針を得る。具体的には、点字タイプライター式、手書き式の2種類の文字入力手段と音声支援による文字入力システムを開発し、学習者の試用評価を得ることとする。手書き式では、手紙文による文字入力実験を行い、入力時間と文字認識率を求めることとする。
結果と考察
 理療教育課程在籍者の平均年齢は2007年度43.5±13.0歳で、2001年度から3.6歳の上昇を示した。50-69歳群69名のうち、視力0.01-0.09に属する者は39名(56.5%)、網膜色素変性症が40名(58.0%)を占めた。糖尿病性網膜症者は30-49歳群、50-69歳群に集中している。この中には、授業時・自主学習時に録音機器に依存した「書かずに聴く学習」を余儀なくされる方が存在し、座学、実技、臨床実習時の筆記行動の再獲得が課題であることが再確認された。
 点字タイプライター式文字入力システムは、電源を入れるとすぐに文字入力が可能で、電源を切るとかなテキストで保存される仕様とした。携帯性と利便性が確保されると考えられる。
 手書き式文字入力システムは、改良により、単文字入力から文単位での入力を可能とした。入力実験から、1分当たり20字程度、平均認識率94.4%の結果が得られた。長時間を要さずにシステムを使用できる点が評価を高めた。
結論
 理療教育課程での学習において、「書かずに聴く学習」を余儀なくされ、点字や普通文字、パソコンでの文字入力に困難を有し、ノート・テイキングに苦慮する中・高齢層中途視覚障害者の学習支援システムを構築するために、2種類の文字入力システムの開発と改良を進め、ニーズに対応した結果、新たな筆記具としての評価が得られた。次年度は、授業時での試用評価と改良を重ね、学習支援システムの構築を図るとともに、同システムの普及の指針を得ることとする。
 

公開日・更新日

公開日
2008-07-24
更新日
-