「理由書」標準様式を活用した住宅改修評価システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200718021A
報告書区分
総括
研究課題名
「理由書」標準様式を活用した住宅改修評価システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 晃(国立保健医療科学院建築衛生部)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 善郎(日本福祉大学社会福祉学部)
  • 上村 智子(信州大学医学部)
  • 糟谷 佐紀(神戸学院大学総合リハビリテーション学部)
  • 阪東 美智子(国立保健医療科学院建築衛生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、「住宅改修が必要な理由書」(以下「理由書」)の標準様式を活用した住宅改修の評価システムを検討し、自立支援としての住宅改修サービスの質を高めることを目的としている。このため、1.標準様式の普及実態を確認した上で、2.保険者による事前評価の方法、及び3.介護支援専門員による事後評価実施上の課題を明らかにし、さらに4.住宅改修に関連する専門職による第三者評価実施の可能性を検討することを課題とした。
研究方法
1.全国の保険者を対象として、標準様式の採用率等の現況に関する実態調査を実施した。2.事前確認の内容や判断を2市で調査し、事前評価方法を検討した。3.「理由書」記載内容の調査、および介護支援専門員対象のアンケート調査等を実施し、目的達成度の事後評価が的確に実施できる条件を検討した。4.リフォームヘルパー事業受託者、および住宅改修支援に関するNPOを事例的にとりあげ、介護保険の住宅改修等の事後評価を試行し、その可能性を検討した。
結果と考察
1.保険者の95%が標準様式をベースにした「理由書」を採用しているものの、その意図についての十分な説明を行わずに導入していたものが半数近くに及んでいた。2.申請書類の審査確認では、介護保険法施行規則で判断できないものも含まれており、審査手順の標準化の必要性が認められた。一方、自立支援目的から介入する場合には、「理由書」の記載項目の「困難状況」の具体化を誘導する方法が効果的であることが示唆された。3.「理由書」記載内容では、改善目的動作の具体化のレベルが不十分なものが1/3を占め、またケアプランと住宅改修の関連性では、両者の関連性は強く意識されているとはいえなかった。4.リフォームヘルパー事業を受託する在宅介護支援センターが、住宅改修の目的動作についての利用状況を確認する評価票を作成し事後評価を試行し、その実施の可能性を確認した。
結論
1.「理由書」標準様式は9割以上の保険者で採用されており、その意図についての理解が深まれば効果的活用が図られる。2.事前申請時の「理由書」の確認について、標準的な手続きと、積極的介入を図ろうとする場合の評価方法を検討し例示した。3.目的達成度についての事後評価を的確に行うためには、「理由書」に記載されるべき内容が現状では不十分なものも少なくない。4.制度的な課題はあるものの、住宅改修支援専門職による第三者評価は技術的には可能である。

公開日・更新日

公開日
2008-07-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200718021B
報告書区分
総合
研究課題名
「理由書」標準様式を活用した住宅改修評価システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 晃(国立保健医療科学院建築衛生部)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 善郎(日本福祉大学社会福祉学部)
  • 上村 智子(信州大学医学部)
  • 糟谷 佐紀(神戸学院大学総合リハビリテーション学部)
  • 阪東 美智子(国立保健医療科学院建築衛生部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、「住宅改修が必要な理由書」(以下「理由書」)の標準様式を活用した住宅改修の評価システムを検討し、自立支援としての住宅改修サービスの質を高めることを目的としている。このため、1.標準様式活用の前提条件を確認した上で、2.保険者による事前評価の意義と方法、3.介護支援専門員による事後評価実施上の課題を明らかにし、さらに4.改修技術を評価対象に含めた第三者評価実施の可能性を検討することを課題とした。
研究方法
1.保険者の標準様式の採用状況等の現況に関する実態調査を実施した。2.事前全数訪問を実施している2市で事前評価の意義についての事例調査を、また別の2市で事前確認の内容に関する調査を実施しその方法を検討した。3.「理由書」記載内容の調査、および介護支援専門員対象のアンケート調査等を実施し、目的達成度の事後評価が的確に実施できる条件を検討した。4.第三者評価の実施の可能性を検討するために、住宅改修支援関連組織を対象として実態調査、評価の試行調査を実施した。
結果と考察
1.標準様式の採用率は9割を越えていたが、改修目的から給付の妥当性を判断する必要性に関する理解は十分とはいえなかった。2.保険者による事前申請時の「理由書」確認によって、給付の妥当性を判断することは可能であり、その方法を例示した。3.目的達成度についての事後評価を的確に行うためには、「理由書」に記載される内容が現状では不十分であることが多く、それを修正誘導するための「理由書作成支援ソフト」を開発した。4.第三者評価実施を担える可能性については、地域包括支援センター、リフォームヘルパー事業等をとりあげて現状を整理したが、評価主体としての役割を全面的に担えるものはみいだせなかった。ただし評価に関する技術的な面については、住宅改修支援専門職・機関によって実施可能であることが確認できた。
結論
1.多くの保険者が採用している「理由書」標準様式を効果的に活用するためには、その意図についての理解を深める必要がある。2.事前申請時に給付の妥当性を判断できるような確認方法を、介入の程度の相違によって2種類例示した。3.開発した「理由書作成支援ソフト」の活用によって、介護支援専門員による目的達成度についての事後評価は的確に行われる可能性は高い。4.制度的な課題はあるものの、住宅改修支援専門職による第三者評価は技術的には可能である。

公開日・更新日

公開日
2008-07-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200718021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
どのような動作を改善するために住宅改修を行うかという目的動作については、これまでデータがなかった。「理由書」標準様式の記載内容に関する調査によって、「便器からの立ち座り」「浴室出入口の出入り」「浴槽の出入り」「出入口から敷地外までの屋外移動」の順で多いことが示され、住宅部位に関する設計上の配慮点が浮かび上がった。さらに、改修方法に関連する、より詳細な動作細分類もおよその傾向が示されたことで、住宅改修の目的達成をベースとした評価研究が実施可能となった。
臨床的観点からの成果
住宅改修を評価する現場からみた成果という意味では、まず自立支援としての改修目的の重要性に関する啓発と評価方法の具体的例示で、事前申請時の確認業務が改善され、保険者による給付妥当性に関する評価が適切になされる傾向が高まるであろう。提案した二つのマニュアルを参照することで、安全性や自立支援目的性といった視点からも保険者による介入が可能となった。介護支援専門員への支援と連動することで、自立支援に役立つ住宅改修が普及することが期待される。
ガイドライン等の開発
開発した「理由書作成支援ソフト」は、介護支援専門員による住宅改修計画のアセスメントの手順を誘導するものである。大多数が採用している標準様式についての作成ガイドを兼ねているために、介護支援専門員に活用される可能性は高く、結果的に適切な住宅改修計画への誘導が図られる可能性も高い。この支援ソフトについての保険者の認知を高め、保険者による事前評価の適格化と連動されれば、住宅改修の自立支援効果は高められる可能性が高い。
その他行政的観点からの成果
介護給付等費用適正化事業のなかで、住宅改修費の給付について市町村職員による事前訪問調査が指針として示されたこと(厚生労働省告示第三十一号、平成20年2月20日)について、本研究成果はその妥当性を示すものとして位置づけられる。
その他のインパクト
日本建築学会在宅ケア環境小委員会において、公開研究会「住宅改修の評価システムのあり方」が平成19年2月23日に開催され(東京・日本建築学会会議室)、研究班として主報告「『理由書』標準様式を活用した住宅改修評価システム-保険者による事前申請時の評価を中心に」を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-