高齢者車いす選択ガイドラインの開発

文献情報

文献番号
200718019A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者車いす選択ガイドラインの開発
課題番号
H18-長寿-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
廣瀬 秀行(国立身体障害者リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,592,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
・本研究の目的は高齢者が健康で生活の質を維持した車いす、座位保持装置、クッションの選択やその介護手法についてのガイドラインを開発することを目的としている。
・特に、3年間の研究では高齢者施設を対象に、褥瘡対応や一部生活機能の向上を目標とした探索的研究を実施する。
・今年度は以下を特に目標とした。
1)車いす上で発生した尾骨部褥瘡に対してシーティングを実施し、座位を維持しながら治癒が促進できることを確かめる。
2)施設全体での褥瘡有病率を低下させるための要因を探る。
3)文献調査によるEBMの確認と座位能力分類の科学性の確保。
研究方法
1)高齢者施設での尾骨部褥瘡保有者に対して、アジャスタブル車いす、褥瘡防止用クッション、そして背支持装置を導入し、褥瘡の治癒状況を皮膚排泄専門看護師が薬剤および全体について医師が評価をする。2)2施設の褥瘡有病率を月ごとに調査し、有病率の変化と同時に、褥瘡に対する知識向上、車いす管理等を通して、有病率の変化にどのような要因が働いているかを探る。
3)EBMは日本褥瘡学会と共同して、臨床上の疑問、批判的吟味、また他ガイドラインを検討して作成する。
4)日本シーティングコンサルタント協会と共同して、座位能力分類の科学性を検討する。
結果と考察
1)3症例の尾骨部褥瘡に対してシーティングを実施することで、褥瘡は2週間以内に治癒した。一般的に骨盤が後傾し、骨盤を起こす運動学に合わせたいすの作成(シーティング)により、尾骨部への負荷が減少し、早期治癒が可能になった。
2)2施設での有病率は減少した。これにはベッドおよび車いすに関する褥瘡防止を意図したクッションやマットレス、そしてそれを使いこなす看護師やPTOTが重要である。
3)車いすに関するEBMが少なく、検討を継続する。
4)広範な高齢者の座位をHoffer分類(台に坐り、1:手を離して座位可能、2:手の支持で座位可能、3:座位不能の3つに分類)を基本として、高齢者を分類できた。
結論
1)尾骨部の褥瘡であるなら、適切なシーティングにより褥瘡を早期に治癒させることが可能である。
2)高齢者施設での褥瘡有病率を下げることは出来る。そのためには、機器の存在とそれを適切に選択設置できる看護師やPTOTの役割が重要である。
3)高齢者を分類することで、例えば、手の支持で座位可能なら上肢機能検査の導入などシーティングの有効性を得るための評価スケールを開発する。
 次年度は、1,2)がケースが少なく、それを増加させていく。また、3)については、上肢機能への介入を行い、シーティングの有効性について検討をする。

公開日・更新日

公開日
2008-06-09
更新日
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