文献情報
文献番号
200718016A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲かつ簡便な摂食・嚥下機能評価システムの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
金高 弘恭(東北大学 特定領域研究推進支援センター, 大学院歯学研究科(兼))
研究分担者(所属機関)
- 小坂 健(東北大学 大学院歯学研究科)
- 薮上 信(東北学院大学 工学部)
- 枦 修一郎(岐阜大学 工学部)
- 荒井 賢一((財)電気磁気材料研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,528,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
摂食・嚥下機能障害は脳卒中などの疾患の後遺症としてだけでなく、加齢現象のひとつとして発現することも多く、経管栄養を必要とする場合があるなど「食べる楽しみ」を奪うだけでなく、誤嚥性肺炎や低栄養状態のリスクを高めるなど、高齢者の生活の質を著しく低下させる要因と考えられている。
本研究では、口腔や咽頭など遮蔽された空間内での位置検出が可能な磁気式システムの特徴を生かし、摂食・嚥下機能の評価・治療に従来より用いられてきたビデオ嚥下造影検査やビデオ内視鏡検査に代わりうる、①低侵襲で簡便、②高精度、かつ③低コストでの利用が可能な新しい摂食・嚥下機能評価システムを構築し、高齢者福祉および医療へ貢献していくことを目的とする。
本研究では、口腔や咽頭など遮蔽された空間内での位置検出が可能な磁気式システムの特徴を生かし、摂食・嚥下機能の評価・治療に従来より用いられてきたビデオ嚥下造影検査やビデオ内視鏡検査に代わりうる、①低侵襲で簡便、②高精度、かつ③低コストでの利用が可能な新しい摂食・嚥下機能評価システムを構築し、高齢者福祉および医療へ貢献していくことを目的とする。
研究方法
30cm四方の空間内で同期的測定できる磁気マーカ数を10個に増やし、位置検出精度が1.0mm程度となる摂食・嚥下機能測定用に特化したシステムを製作し、正常動作の確認を行った。さらに生体用として特化したワイヤレスLCマーカの開発にも着手し、Q値およびS/N比の向上を行った。
また併行して、自己申告に基づく口腔機能データの信頼性の評価を行った。市町村の住民健診における特定高齢者の把握の際に専門の歯科医師により口腔内診査および口腔機能検査を行い、基本チェックリストの項目(自覚症状)と客観的なデータ(歯科医師による口腔内診査および口腔機能検査)について比較を行った。
また併行して、自己申告に基づく口腔機能データの信頼性の評価を行った。市町村の住民健診における特定高齢者の把握の際に専門の歯科医師により口腔内診査および口腔機能検査を行い、基本チェックリストの項目(自覚症状)と客観的なデータ(歯科医師による口腔内診査および口腔機能検査)について比較を行った。
結果と考察
新しい摂食・嚥下機能測定用システムが正常に動作することを確認した。また生体用に特化したワイヤレスLCマーカの開発を行い、S/N比を30程度まで向上させることに成功した。
自覚症状と歯科医師による診査・検査との比較では、咀嚼についてはある程度の一致はみられたが、むせることと反復唾液嚥下テスト、口腔乾燥と口腔水分量との関係は必ずしも相関しているとはいえなかった。今後、スクリーニングの目的に合わせ簡便かつ精度の高い検査方法の開発が望まれる。
自覚症状と歯科医師による診査・検査との比較では、咀嚼についてはある程度の一致はみられたが、むせることと反復唾液嚥下テスト、口腔乾燥と口腔水分量との関係は必ずしも相関しているとはいえなかった。今後、スクリーニングの目的に合わせ簡便かつ精度の高い検査方法の開発が望まれる。
結論
本研究によって得られた成果により、全国の市町村において、介護予防の対象者の選定に利用され、適格な対象者の把握が正確かつ簡便に行われることになれば、より適格な対象者を把握することができるため、無駄を減らし、サービスが真に必要な人に対し効率的にサービスを提供することが出来るようになると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2008-05-24
更新日
-