文献情報
文献番号
200718014A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者呼吸器疾患の発症・制御に関与する遺伝子・蛋白系の解明と治療応用
課題番号
H18-長寿-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
長瀬 隆英(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 萩原 弘一(埼玉医科大学)
- 栗原 裕基(東京大学大学院 医学系研究科)
- 石井 聡(東京大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢化社会が急速に進行する現在、呼吸器領域疾患の社会的重要性は急増しつつある。WHOによれば、2020年の死亡要因の第3位が慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎および肺気腫,COPD)と予想され、呼吸器疾患による死亡者数の急増が予見されている。本邦においても呼吸器疾患の患者数、死亡者数は年々増加しつつあり、COPDを筆頭とする呼吸器領域疾患への対応は、医学および厚生労働行政の直面した急務である。本研究事業の目的は、COPDなど高齢者呼吸器疾患の病態を解明し、治療開発への端緒を与え、高齢呼吸器疾患患者の生活の質を改善することである。
研究方法
COPD遺伝子多型解析、発生工学的手法を用いた疾患関連遺伝子マウスの作成、siRNAの応用などにより、高齢者の主要な呼吸器疾患であるCOPD発症に関連する遺伝子、蛋白質の機能解明および治療法の開発を目指す。また、呼吸器学、老年医学、分子生物学を結集した集学的アプローチにより、高齢者呼吸器疾患に向けたオーダーメイド治療の確立を目指す。
結果と考察
研究成果により、ホモ接合指紋法という画期的な遺伝子解析手法が確立された。本手法は、疾患発症に関与している劣性遺伝子を数十例程度の患者検体で解析・同定できる可能性を提示する画期的な技術である。
また、各種の疾患関連遺伝子改変マウスを作成し、呼吸器系における病態生理学的意義および呼吸器疾患発症への関与の可能性を探索した。このような分子生物学上の最新手法の開発・応用などにより、成体での遺伝子・蛋白質の機能解析手法を確立することで、近い将来、分子標的薬のドラッグデザインに反映されることが期待できる。
また、各種の疾患関連遺伝子改変マウスを作成し、呼吸器系における病態生理学的意義および呼吸器疾患発症への関与の可能性を探索した。このような分子生物学上の最新手法の開発・応用などにより、成体での遺伝子・蛋白質の機能解析手法を確立することで、近い将来、分子標的薬のドラッグデザインに反映されることが期待できる。
結論
これらの技術の確立及び実験の解析結果は、COPDをはじめとする高齢者疾患発症に関わる遺伝子の機能解明および分子標的治療薬の開発に大きく貢献することが推察される。従来の方法ではCOPDをはじめとする高齢者疾患の分子生物学的解析は困難であったが、画期的な遺伝子解析手法の応用など最新技術の開発・応用などにより、早期に分子標的薬のドラッグデザインに反映されることが期待できる。社会的重要性の高い高齢者炎症性肺疾患に対する治療薬開発は医療福祉・経済的にも多大な貢献をなすものであり、厚生行政に寄与するものと思われる。
公開日・更新日
公開日
2008-05-24
更新日
-