文献情報
文献番号
200718002A
報告書区分
総括
研究課題名
生体内酸化ストレスによる老年性疾患の発症機構の解明と予防
課題番号
H17-長寿-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石井 直明(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 丸山 直記(東京都老人総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
11,103,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
老年性疾患の原因として酸化ストレスが最も注目されている。寿命や老化の速度は酸化ストレスの発生量と抗酸化能力のバランスによって決定されていることから、この両面からの研究を融合する必要がある。そのため、ミトコンドリアから活性酸素が過剰に発生するmev-1変異マウスとビタミンCの合成能力を欠損したSMP-30マウスを用いた、活性酸素を原因とする老年性疾患の研究を行った。またミトコンドリアから発生する活性酸素を抑制する抗酸化物質の探索するために、線虫C. elegansの寿命を指標としたシステムの構築を行った。
研究方法
1.mev-1マウスが生理的老化のモデル動物になりうるかを検証するために、野生型マウスの加齢による酸化ストレスの変化を調べた。
2.SMP30はマウス・ラットを用いて、酸化ストレスを軽減する物質であるアスコルビン酸(ビタミンC)欠乏が脳内酸化ストレス発生に及ぼす影響を解析した。
3.抗酸化物質を簡便に探索できるシステムをC. elegansで構築するため、液体培地法の条件設定を行った。
2.SMP30はマウス・ラットを用いて、酸化ストレスを軽減する物質であるアスコルビン酸(ビタミンC)欠乏が脳内酸化ストレス発生に及ぼす影響を解析した。
3.抗酸化物質を簡便に探索できるシステムをC. elegansで構築するため、液体培地法の条件設定を行った。
結果と考察
1.生理的老化はミトコンドリアの活性酸素発生量の増加に起因した酸化障害の蓄積、その蓄積によるアポトーシスの過剰誘導による臓器萎縮、機能低下により生じると結論づけられた。この機構は、臓器により異なり、脳、眼、腎臓といった臓器では上記機構が強く影響し、生理的老化を引き起こしていると考えられた。このような変化がmev-1マウスにおいても生じていた。
2.脳内においてアスコルビン酸(ビタミンC)はスーパーオキシドを消去することが明らかとなったが、脳内酸化ストレスの指標は有意の増加を認めなかった。
3.「線虫の寿命を指標とした、新規生理活性物質スクリーニング法」を開発した。漢方の一種である大黄ミトコンドリアから発生する活性酸素の発生量を抑制することを見出した。
2.脳内においてアスコルビン酸(ビタミンC)はスーパーオキシドを消去することが明らかとなったが、脳内酸化ストレスの指標は有意の増加を認めなかった。
3.「線虫の寿命を指標とした、新規生理活性物質スクリーニング法」を開発した。漢方の一種である大黄ミトコンドリアから発生する活性酸素の発生量を抑制することを見出した。
結論
加齢とともに酸化ストレスが増加し、酸化ストレスの亢進や抗酸化物質の欠乏は早老の症状を示す。しかし、酸化ストレスによる傷害の程度は臓器により大きく異なった。これは、臓器ごとの酸化ストレスと老化の研究の必要性を示唆している。
漢方や生薬の中には寿命を短縮する効果があるものも見出され、我々が開発したスクリーニング法」が寿命に変化をもたらす生理的活性を持つ物質の探索に有用なシステムであることが示唆された。
漢方や生薬の中には寿命を短縮する効果があるものも見出され、我々が開発したスクリーニング法」が寿命に変化をもたらす生理的活性を持つ物質の探索に有用なシステムであることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2008-04-10
更新日
-