臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験

文献情報

文献番号
200717022A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験
課題番号
H19-臨床試験-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中村 清吾(聖路加国際病院)
研究分担者(所属機関)
  • 津川 浩一郎(聖路加国際病院)
  • 岩田 広治(愛知県がんセンター 中央病院)
  • 大野 真司(独立行政法人 国立病院機構 九州がんセンター)
  • 元村 和由(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター)
  • 秋山 太(財団法人癌研究会 癌研究所)
  • 徳田 安春(聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,282,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、乳癌患者においてセンチネルリンパ節生検の安全性を評価することである。センチネルリンパ節生検は、腋窩リンパ節郭清に比べ低侵襲な手術であり、転移検索にも効率的な方法である。したがって、安全性が確立し、さらに多くの施設に普及することで、より多くの患者がその恩恵を受けることが期待される。既に欧米の各種ガイドラインでは、リンパ節転移のない患者へのセンチネルリンパ節生検は標準術式と位置づけられている。日本と欧米では、本法で使用されるトレーサーとしての色素、RI粒子が異なる現況があり、日本では保険診療としてそれらを乳房内に注射することは認められていない。そこで、現在、本邦で先進医療や臨床研究として使用されている色素、RI粒子を使った際の、安全性と同定率に関して、前向きに検討することとした。
研究方法
 視触診や画像診断上、腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌患者を対象に、同意取得の後、色素法単独、RI法単独、あるいは色素+RI併用法でセンチネルリンパ節生検を行う。データ集積は前向きかつ連続的に行い、使用された色素あるいはRI粒子の安全性を有害事象の有無で評価する。また、センチネルリンパ節の同定率も算出する。
結果と考察
 欧米で標準的に使用されている色素(イソスルファンブルー)に関連する重度アレルギー反応は、0.7?1.1%と報告されている。本邦で使用されている色素、RI粒子での重度な有害事象がこれと比較して、変わりないことを証明するには、1,500例の症例が必要である。日本乳癌学会のアンケート調査結果によれば、学会認定施設の中から150施設程度の参加が期待でき、当該施設でのセンチネルリンパ節生検の施行件数は計11,306件(2005年)であった。したがって、エントリー目標症例数の達成は十分可能なものと考えられた。
結論
初年度は「臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験」に対するエントリーを進めた。初年度は3月よりエントリーを開始し3月末現在、7施設より123件の登録があった。次年度は、症例集積を継続し目標症例に到達した段階でデータ解析を行い、日本で一般的に使用している色素、RI粒子の安全性を確認し、同定率が欧米で使用している薬品と遜色のないことを確認し、本手技を保険適応とする努力をしたい。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
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