悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の遺伝子診断

文献情報

文献番号
200717019A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の遺伝子診断
課題番号
H19-臨床試験-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
師井 洋一(九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 古江増隆(九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野)
  • 戸倉新樹(産業医科大学医学部皮膚科)
  • 岩月啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学分野)
  • 玉置邦彦(東京大学大学院医学系研究科皮膚科)
  • 石川治(群馬大学医学部皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早期悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節を生検し、転移の有無を確認することにより郭清術の適応を決定することが可能となった。摘出したリンパ節の診断おいては、通常のHE染色に加えて免疫組織学的に検討し、さらには1または3種のメラニン産生関連酵素の遺伝子を指標にRT-PCR法を併用して診断精度の向上に努める。この検査により、予後の向上が期待でき、5施設共同でその有用性と安全性を検討する。
研究方法
センチネルリンパ節は悪性腫瘍が最初に転移するリンパ節と考えられ、その生検により、病期を確定し、所属リンパ節の郭清の適応を決定できる。実際には、手術前日にRIを用いたリンパシンチグラフィーを施行しセンチネルリンパ節の位置を同定し、術中には放射性物質をガンマプローブで確認しながら、さらに生体色素による色素法を併用しセンチネルリンパ節を同定、生検する。
結果と考察
厚生労働省がん研究助成金15-10の平成15年から18年までの検討では、340症例中、330例(97.1%)でセンチネルリンパ節が同定された。根治的リンパ節廓清を省略できた症例は207例(全症例の60.8%)あったが、その後に残存リンパ節に転移を生じてきたものは5例(2.4%)のみであった。大半の患者の身体的負担を大幅に軽減できたということになる。当科で施行したpT1以上の49例について詳細に検討した。49例中11例をセンチネルリンパ節転移と診断し、うち9例に根治的郭清を施行したが、偽陰性症例を1例認めた。免疫染色では抗Tyrosinase抗体による染色が感度92%、特異度79%で最も有用と考えられた。RT-PCR法はおおむね良好な感度(すべて82%以上)で、補助診断として有用であるが、MART-1に関しては特異度(59%)が低かった。当科および共同研究施設で施行した全199症例において、問題となる有害事象は経験していない。今回の研究以前に、今回申請と同一の方法で施行してきたセンチネルリンパ節生検症例数は以下の通り:九州大学病院皮膚科(64例)、東京大学病院皮膚科(10例)群馬大学病院皮膚科(31例)、岡山大学病院皮膚科(54例)、産業医科大学病院皮膚科(40例)。
結論
臨床試験登録(UMIN)も終了し、症例の登録準備が整ったため、適応基準に合致した症例を順次登録していく予定。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-12-16
更新日
-