早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価

文献情報

文献番号
200717015A
報告書区分
総括
研究課題名
早期乳癌へのラジオ波焼灼療法の安全性および有効性の評価
課題番号
H19-臨床試験-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
木下 貴之(国立がんセンター中央病院 乳腺科)
研究分担者(所属機関)
  • 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 外科)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
  • 藤澤 知巳(群馬県立がんセンター 乳腺科)
  • 増田 慎三(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 津田 均(防衛医科大学校病院 病態病理学講座)
  • 岩本 恵理子(国立がんセンター中央病院 放射線診断部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、本邦で肝悪性腫瘍に対して保険収載されているラジオ波焼灼療法(以後RFA)が、乳がんにおいて、安全かつ有効に行えるかどうかを評価する。
研究方法
本研究は、初年次にまず乳腺組織におけるRFAの焼灼効果を確認し、RFA手技の安全性および有効性を検証するためにPhaseⅠを行うこととする。症例数は、30例にプロトコール逸脱20%を見込んだ37例と設定する。乳房切除術の適応症例に対してRFAを施行後、乳房を切除して、その安全性および有効性を検証する。。研究終了後には、RFAと現行の乳房温存術との比較試験などPhaseⅢレベルの臨床試験を行い、胸部悪性腫瘍(早期乳がん)に対するラジオ波焼灼療法(RFA)の保険適応化を目指していく。
結果と考察
 本研究は、RFA施行直後に 乳房切除を実施し、安全性と摘出標本の病理組織学的評価を実施することを目的としている。
文書にて同意が得られた適格症例9例について評価を行なった。
1)皮膚熱傷は、腫瘍近傍の乳房および対極版を貼付した両側大腿部ともに認めなかった。
2)9例中8例は、適切にニードルが腫瘍に刺入されており、十分な焼灼の効果が確認された。1例のみが、腫瘍の中心からニードルが外れており 十分な抗腫瘍効果が得られていなかった。
3)摘出標本の病理組織学的検討では、H&E染色におけるRFAの熱変性の範囲は、平均3.69cm(2.6?6.6cm)で、細胞死を予測するNADH染色にても同一範囲が、治療の影響を受けたものと評価できた。
4)2cm以下 限局型との適応にて本研究にエントリーされた9例に関して、切除した標本の病理組織診断の結果から適切であったかどうかを再評価した。結果は、すべての症例が広範囲の乳管内病変を有しておらず、穿刺を失敗した1例を除いて、病変が焼灼範囲内にとどまっていた。
5)今回の9症例はラジオ波焼灼療法後にすべて全乳房切除術が実施された。事前に予定していた術式を完遂し、合併症なく予定通りの入院期間にて退院された。
結論
乳癌対するラジオ波焼灼療法の、適応決定における妥当性およびその手技の安全性が確認された。

公開日・更新日

公開日
2008-06-12
更新日
-